柴田元幸のオールタイムベスト作家、スチュアート・ダイベック「猫女」を含む海外文学アンソロジー。
こ、これは・・・思っていたよりも、上級者向けの本だったのかも。
あまりピンと来ないまま、「あ、終わっちゃった」という話もいくつかあり、読んでいる間中、「これをなんで文章で書こうと思ったんだろう?」と不思議でならないものもあり。
「奇妙な味」タッチの話が多いと感じたのも意外だった。日本ではこういう短編は、ミステリーのほうに分類されるのだろうか。それとも、左翼的な(?)純文学と言われるのかなぁ。
読んでいて面白かったのは、ヴァレリー・マーティンの「世の習い」だったのだが、後半で急に抽象的な話になって、「??」状態になり、がっくり。
そういう意味では、「燃える天使/謎めいた目」と「サンタクロース殺人事件」が最後まできっちり楽しめたと思う。こういう主観的な話を楽しめることは、嬉しい(私が)。
「自己中心的」ではなく、あくまで「主観的」であることに、どこまで寛容になれるかで、この短編集の面白さが変わってくるのではないかな、と思った。
「わからない」ということは、しばしば怒りに繋がりやすい。けれど、「わからない」ことを「わからない」ままに楽しもうとする努力も、時には必要な気がする。少なくとも、そのほうが自分にも寛容になれる気がするから。
読書状況:読み終わった
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遠くへ、もっと近くへ
- 感想投稿日 : 2011年8月2日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年8月2日
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