三ツ矢田所シリーズ3作目。
令和の東京中野区で発生した20代シングルマザー殺害事件と、バブル崩壊後の北海道鐘尻島での出来事。
事件現場から見つかった「私は人を殺しました」という手紙が、数ヶ月前強盗殺人で命を落とした高齢男性の署名入りだったこと、シングルマザーの子が所在不明であることなど、様々な事件が入り組んでいて、まったく先が読めなかった!
「あなたが殺したのはだれ」の答えが分かった時には、ぞっとした。
これもまた、多くの人の善意のような独りよがりのような思いによってボタンが掛け違えられていった結果なのだろうか。
だれを殺したのか、なぜ殺したのか。
まさきとしかさんが書き続ける「母の狂気」。今回は、母の呪縛…とでも言うべきか。今作でも炸裂していました。
我が子と幸せになりたい、我が子が愛おしいという感情と、我が子が鬱陶しい、我が子と離れたいという感情。母として私も持っている。我が子の人生に乗っかろうとする母の愚かさは、自分勝手だと切り捨てて責められるほど、私は立派な親ではないと痛感した。
今作は、救いがない事件だったな。
前の2作は、生きている意味と死んでいく意味のような、死に意味や意思があったんだけど、今回はそれはなくて、悲しさが強く残った。
生んでくれたことに感謝できるような人生を送れていることと、ラスト田所の願い(?)が叶いそうなことが、救いだった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2024年3月24日
- 読了日 : 2024年3月24日
- 本棚登録日 : 2024年3月22日
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