終戦直前にソ連が南下。8月15日以降、在中国の日本軍は武装解除をするも、根本中将の駐蒙軍だけは、ソ連軍の行動を予測して、そのまま徹底抗戦体制を維持。武装解除した部隊は悲惨な状況にある中、根本部隊は無事、全軍・家族を日本に帰国させたとあります。但し、これは、それまで敵対していた国府軍(国民党)蒋介石の支援あってのこと。
蒋介石は、英チャーチル・米ルーズベルトとのカイロ会談で、日本の国体維持(天皇制の維持)を主張。終戦後も「怨みに報いるに徳を以ってす」とし、根本氏にも「日本の恨みは買いたくない」と語ったと書かれています。その後、共産党との闘いで、台湾まで追い詰められた蒋介石に、当時の恩を返そうと、台湾に渡ったのが根本中将以下日本人数名。「軍事顧問」として、蒋介石軍に進言し、共産軍の金門島への上陸を阻み、いまの台湾があるとされています。
しかし、「日本人の支援で…」ということは残せず、歴史からは抹消。60年たってからの戦役記念式典に、日本人関係者の親族(本人たちは既に物故)が招待され、当時の馬統帥から一人ひとりに声をかけられた(忘れれてはいなかった)ところで終了します(こうした細かな配慮というのは、政治にはとても大切と思いました)。
NHK「路」で台湾鉄道が取り上げられましたが、ラブロマンス的。台湾からは、東日本大震災で、世界最大の200億円の義援金を日本に送られたともあり、さまざまなところで日台関係の強さがわかる書籍です。米中対立の間隙をぬって、優れたコロナ対策などから、台湾が注目されていますが、考えてみれば、日本にはとても心強い友人が身近にいるのだと改めて思わせる良書と思います。一時、Amazonで売れていましたが、なるほどと頷かせる一冊です。
- 感想投稿日 : 2021年7月12日
- 読了日 : 2020年8月16日
- 本棚登録日 : 2020年8月16日
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