眠れる美女 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1967年11月28日発売)
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本棚登録 : 3834
感想 : 348
5

表題作の『眠れる美女』が素晴らしいです。完璧です。
設定から表現、話の流れまですべてが結合しひとつの無駄もなく、
『雪国』よりも『伊豆の踊子』よりも、断然いいです。

エロとか敗退的とか言われますが、そこじゃないだろとは思います。
こういう設定でそういう話をかける人くらい五万といますし、
表層的な部分で評価しちゃうのはもったいないです。

まあ、確かにエロくもあり敗退的でもあるんですけど、
その中から孤独と老いの悲しみを描きだしたこの手法は、
彼ならではの豊潤かつ簡潔な文章でないと薄っぺらくなるでしょうし、
それらすべてが混ざり合い人生のせつなさが浮び上がるという意味でも、
ちょっと他に類を見ない完成度です。

ひとそれぞれ感じることは違うのかも入れませんが、
(特に男性と女性では評価は大きく異なりそうですね)
僕はこの上なく悲しい小説だと思っています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年1月10日
読了日 : 2013年1月10日
本棚登録日 : 2013年1月8日

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