どうしようもないフェチみたいな話が好きなので「その人そのものではなく指が好き」な話や「寂しくなった頭の毛がどうにも魅力的に見える」話にめちゃくちゃ期待をしていたものの、表面上の執着は強くとも濃さがあまりないような気がしていまいちハマれなかった。
「指が」「指が」と何度も言うんではなくて、例えば「爪の形が昔お土産屋さんで買ってもらえなかった桜貝のキーホルダーのようにつややかで、だからこそこの指でなくてはならないのだ」みたいなやつが欲しいのよ…!!!それとか爪を噛む癖があるってことは手をよく口にやるはずだからそれに基づいて「彼は爪で唇の輪郭をゆっくりなぞりながら考え事をする癖があることに最近気付いた。2回転、半。つるりとなぞる爪が夕陽のオレンジ色をほのかに湛えている。うっすらと唇が開き『どうかした?』と聞かれてわたしは固まってしまった。」みたいなやつ〜〜〜!!!!
お話そのもののバランスの良さとしては「綺麗でいることがコンプレックスだった人がしわくちゃのお爺さんと仲良しになる話」は少し好きだった。この著者の作品これしか読んでないけど、この人の書き方だったら恋愛を主軸に置いてる作品よりも親愛とかそういう方向のものの中の一部として見逃すほどほんのちらっと恋愛的な側面もありますよみたいなお話のが好きかもなあ。
古びた遊園地そのものが色んな人々をなんとか抱擁しているかんじも良かった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2023年7月25日
- 読了日 : 2023年7月25日
- 本棚登録日 : 2023年7月25日
みんなの感想をみる