スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1987年3月25日発売)
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感想 : 299
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恐怖の四季・秋冬編。再読しました。しみじみ良かった。

「スタンド・バイ・ミー」が名作なのは分かりきってるし、映画も何度も観て原作を改めて読んで、「映画、原作の空気がそのままだ」とつくづく感じました。
死体を探しに行く前と後で、何かが決定的に終わってしまったのが…テディとバーンとその後疎遠になっただけではなくて、ゴーディとクリスの子ども時代も終わってる気がしました。コイン投げで全員裏を出した次に、ゴーディ以外の3人が裏になるのとかもう。。しかもこのシーンで「わたしはこの十二歳のときの仲間たちのような友人を…」がくる。
映画でクリスを演じたリヴァー・フェニックスさん、凄いな。クリスの説得力をあのくらいの年齢で出せるのは、悲しいけど老成という感じがします。完成されている。
ゴーディとテディとバーンも原作イメージぴったり。特にバーン。バーンの俳優さんだけ、時折お名前拝見したりする。エース役のキーファー・サザーランドさんは、後に24観た時にあまりの変わらなさに爆笑してしまったけど……。

あまり記憶に残ってなかった「マンハッタンの奇譚クラブ」もかなり好きな世界でした。
マッキャロン先生の話すお話の不思議さも、ミス・スタンスフィールドの気概も、結構ドラマチックだけど落ち着いてて。
奇譚クラブの世界観とスティーブンズの凄味もたいへん好み……恐らくスティーブンズは人間じゃないしこれまでもこれからもずっとここにいるんだろうし、クラブの建物は何時でも何処にでも繋がってるんだろう。深く考えると野暮です。
恐怖の四季、この作品だけ映像化されてないのも納得。相当丁寧に描かないと、地味な普通の怪談になってしまう…それは勿体ないです。

スティーヴン・キングさんのまえがきも良かった。
これ読むと、(「恐怖の四季」って邦題は……)ってなったけど。良いのかな??
バナナ共和国でもわたしは読みます。「またふたたび会えるまで、頭を胴体から離さないようにして、いい本をたくさん読み、有能で、幸せな人間でいてほしい」。

『語る者より、語られる話こそ』

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2023年7月2日
読了日 : 2023年7月1日
本棚登録日 : 2016年11月10日

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