エッカーマンによる晩年のゲーテの言行録。一八二三年から一八二七年まで。当時の文学に対するゲーテの見解、色彩論にはまりこむゲーテとエッカーマンの様子、ゲーテが見聞した政治的事件についての感想など、「はざま期」(コゼレック)を生きた人間による貴重な証言が豊富に詰まった作品。「いちばん合理的なのは、つねに各人が、自分のもって生まれた仕事、習い覚えた仕事にいそしみ、他人が自分のつとめを果たすのを妨害しないということだ」という言葉には、革命以降のゲーテの作品――『ヘルマンとドロテーア』や『ヴィルヘルム・マイスター』――に一貫して流れる彼の思考が読み取れる。確かにこれは民主主義革命の時代に対する反発であり、現代人が納得できるかどうかはともかくとして、一つの見識であろう。
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カテゴリ:
文芸
- 感想投稿日 : 2016年3月1日
- 読了日 : 2016年2月9日
- 本棚登録日 : 2016年3月1日
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