時生 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2005年8月12日発売)
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 透明な囲いの中の青年は、寝息をたてているかもしれなかったが、周りに配置された生命維持装置の音によってかき消され、いつの間にか担当医師がそばに来ていた。

「残念ながら、今後、意識が戻る見込みは極めて薄いといわざるをえません」

 宮本夫妻にとって残酷な宣言を行った。

「でも、全然見込みがないわけではないんですね」宮本は確認した。あいつに声をかけてやりたいんです。最後に一言だけ」

 後は医師たちに任せ、集中治療室の前から離れた。息子が寝たきりになったのは三年前だが、夫婦の戦いは、彼(トキオ)の誕生が決定された時から、今日の苦悩は約束されていた。息子の病名は、グレゴリウス症候群だ。

 結婚前、彼女から私は病の遺伝子を持っていると告げられた。それでも一緒になる決意をした。宮本は悩み考えた。自分の胸に引っかかっている正体を探していた。
 やがて彼の耳にある青年の声が蘇った。
 明日だけが未来じゃない----------。

 2002年七月に「トキオ」を「時生」と改題した作品です。

 宮本拓実(主人公)❘妻麗子
 麗子はキャリアであるが故に、気を付けていたが妊娠した。妻は当初堕胎を考えていた。
拓実は、産んでほしいと麗子に頼んだ。その子はきっと、産まれたがっている。「名前はトキオだ」妻「前から決めていたの?」
 トキオの病が発症した。

 拓実は妻に「じつは話しておきたいことがある。時生のことだ」「ずっと昔、俺はあいつに会ってるんだ」
 麗子「どういう意味?」
 拓実「今から二十年以上前だ。俺は二十三だった」「あいつは時間を超えて、俺に会いに来たんだよ」

 物語は漸く動き出した。
過去を変えることは出来ない。しかしタイムパラドックスの問題はクリアしている。

著者らしい不思議な物語。
ファンタジーミステリ小説です。TOKIOは空を飛ぶ~♪
 読書は楽しい

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー(推理小説)
感想投稿日 : 2023年11月11日
読了日 : 2023年11月9日
本棚登録日 : 2021年5月17日

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