かもめ・ワーニャ伯父さん (新潮文庫)

  • 新潮社 (1967年9月27日発売)
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感想 : 106
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映画「ドライブ・マイ・カー」の中で、劇中劇として重要な役割を果たしていた「ワーニャ伯父さん」。
そうとは知らずに、未読で映画鑑賞をしてしまい、鑑賞後、余韻に浸りたかったのか、どうしても読みたくなった。
(因みに村上春樹さんの原作は未読)

戯曲ということで、小説とはまた違う印象でした。
ついつい、「ドライブ・マイ・カー」の配役そのまま、ワーニャ=西島秀俊さん、ソーニャ=パク・ユリムさんで脳内変換してしまった。
但し、ソーニャは性格は良いが器量が残念…と描かれています。パク・ユリムさんはとても美しい方だったので、そこだけ違いましたが。

お話しはネガティブながら「生きる」ことを描いた作品でした。
辛くても死ぬより悲劇はないという、明るくはない終わり方でしたが、映画と併せてみると、妙に納得してしまう淡々さ。
また、映画同様、異性に翻弄されていくさまも感じられました。

思い出したのが「風と共に去りぬ」。
これも辛くても生きていくというラストでしたが、
スカーレットには強く強く明日を開拓していく!という気概を感じたけれど、ワーニャは、生かされている間は生きなければいけないという、静かな決意とも言えぬ心情。でも、ワーニャ伯父さんに生きなければならないと訴えかけるのは、姪である女性。
自ら明日への希望を持って生きること、何もしなくても明日はやってくるという考え方の根本が異なるのかもしれません。

男性、女性で単純に決めてしまってはいけないけれど、女性は切り替えというか、割切りとか狡さのような強さがあるなとか(男性よりその決断が早いだけなのか?)、映画鑑賞の後だと尚更そんな気がしてしまいました。
せっかく生きるのならば、前向きだったり楽しい方が良いけれど、なかなか難しい。

※余談ですが「ドライブ・マイ・カー」好きな映画でした。賛否両論ありますし、村上春樹さんはあまり得意ではないのですが。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年3月6日
読了日 : 2022年3月6日
本棚登録日 : 2022年3月6日

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