帰ってきた悪の魔女(ザ・ランド・オブ・ストーリーズ2)

  • 平凡社 (2018年10月5日発売)
4.13
  • (13)
  • (12)
  • (6)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 187
感想 : 15
3

LoS

読み慣れたのか、1冊めのような翻訳に対する読み辛さのようなものはかなり薄まりました。

序章。
“眠れる美女”と言うのが名前で良いんでしょうか。この名前が繰り返し呼ばれているのには違和感しかないのですが。名前に関しては日本語に訳さなくても良いのでは……。

ハリポタ形式に1巻ごとに1年、のようですね。
13歳になった主人公。日本と違って学校は同じままなんですよね。この辺りの学年のことが未だによくわかっていない私です。

昔から海外作品に触れると、未亡人、寡男が私の感覚からするとすぐに新しい恋を勧められるなぁと思うのですが、人生は短いから幸せになるべき、愛は永遠、そう言う美学と言うか感覚なのですかね。ママの幸せのためと受け入れて、喜べる双子は私よりずっと大人に思えます。
いやほんとに、本人達が決めること。それはそう。でもできれば私は親しくなっていく過程を最終巻までに描いてもらって、そして最終的に再婚する、と言う展開が良かった。個人的な話です。心の準備がね、双子以上に必要でして。
だってまだボブと言うキャラクターについて何も知りませんから、移入できてませんもの。好きになる時間が欲しい。段階を踏んでキャラクターを知りたい。

校長室でのシーンやコナーの才能に関する描写は、著者本人のことを書いているのかな、と言う印象がとても濃いです。全編通して双子のモデルは著者自身なんでしょうが。その中でも特に。そう思うと胸が熱くなります。ちびまる子ちゃんが漫画家を夢見るのと同じように。

マザーグース登場から段々と気分がのってきました。脳内で映像と声が再生されるようになってくると、途端に読みやすくなります。

ワンスアポンでのご贔屓キャラ二人目、ルンペルも登場。
いやはや、この作品の中の彼は善性が強そうですね。新しい見方ができそうです。

あれ?フロッギー、ちょっとだけ口調変わりました??王子だとバレたからかしら。
多分、赤ずきんは嫌われ者のキャラクターなんでしょうけど、私はどうも憎めないんですよね。おバカ可愛いと言いますか。多分、コンプレックスの塊だと思うんですよね。そこが愛しいです。押しに弱いところも可愛くないですか?

海外では赤ちゃんは早いうちから別室で寝かせるもの、と言う知識はあったのですが、ちょっと調べてみたところ、世界の9割は添寝派らしいですね。文化の違いとは言え、昔々からそうなのでしょうか。少しきになるところ。
あと、王子たちの名前とその妃がなかなか覚えられない。
ラプンツェルだけは別の家の人なんですね。

エズミアとの出逢いを語るfgmの語り口調がちょっと不安定かな。やはり細かいところが気になるものです。
本作は説明台詞が結構長いんですよね。なのでより一層。

いや、みんな自分語りしますね。児童文学だし、まあ良いかな。それでも語るなぁ。物語の世界だからと思えば不思議もないのか。そしてエズミアの恨みはまた、筆者の経験から出た言葉でしょうか。前作もそうでしたが、著者自身の言いたいこと、ストレートに書いてますね。

前作でも本作でも、動機は恋愛絡み、愛、嫉妬からの酷い仕打ち。エズミアの怒りはどうにも幼稚と言いますか、子どもっぽく感じます。魂はfgmに拾われた時の少女のままと言うことかな。赤ずきんを見習って欲しい。

すっかり赤ずきん贔屓になってるので、ジャックとゴルディには逆に厳しめになってしまう自分がいます。よくよく考えたら悪いの赤ずきんなんですけど。
そして、ジャックの豆の木って、前作でジャックも日課のように切り倒してませんでしたっけ??赤ずきんの場合は根っこから引っこ抜いたと言うことなのかな。

あれ?
そう言えば行商人て、トロルとゴブリンから双子を守る為に自分を犠牲にしたんじゃなかったですっけ。コナーが妖精院に苦言したことでまた奴隷解放の流れになったんだったかしら。

アレックスの言う学校の女の子たち、ついリアとナヤの顔が浮かんでしまいました。不仲説が有名ですからね。

そして、盗みを正当化することはできませんよね。たとえパンひとつでも。アラジンでもそうなんですけど、パン屋さんからすれば損失ですし、一人に許してしまえば規律は崩壊します。それでも主人公でないだけで、向こうが悪者のように描かれてしまうのは気の毒。食べる手段は盗む他にも何かあると思うのですが……。逃亡犯と言えども。

うーむ、認めないわけにはいきませんね。赤ずきんがお気に入りのキャラだと。こう言う子好きなんです。かわいい。良いやつじゃないですか、おバカだけど。高田 由美さんの声で脳内再生されます。何となくではありますが、赤ずきんがリア、ゴルディがナヤをモデルにしているのでは、と思ってしまいます。

ところでフロッギーことチャーリーって王子ですよね。
友達とは言え、ジャックは飛空挺の仕事を軽々申し付けたりできるものなんでしょうか。ちょっと気になりました。チャーリーの方がその様に接してくれと望んだのかしら。

愛する人だからとは言え、赤ずきんなら差出そうと言うのに、ゴルディが身代わりになるとなった途端猛反対するジャックって結構酷くないか。やはりどうしても私は赤ずきん派です。

22章で急にまた日本語訳が読み辛くなってきたような気がします。エズミア。その怒り。やはりどうにも陳腐に思えてしまう。悪の素質とはそう言うものなのかも知れませんが。それに巻き込まれる人々はたまったもんじゃありませんね。

ルンペル。泣けます。家族の望む自分。gleeでもよく取り上げられていたテーマですよね。LGBTの話題なども多かったですし。人類不滅のテーマと言うか。道を誤ってしまったのは確かですが。悲しいです。

私は幸せな人生を送ってきたらしく、本作の結末に共感ができませんでした。私はドロシー、アリス、ウェンディ、ルーシー側の人間なのです。お家が一番。家族が一番。母親がそれを選ばせるとは。どうやって世間に説明するのでしょうか。おばあちゃんが魔法でどうにかしてくれるのかしら。
学校の勉強もないと思うと、勿体ない気がします。せめて高校まで履修していたら、御伽の国でも何か役に立つのでは、と。おとぎの住民にはないひらめきがアザーワールドの日常にあるのでは、と。

ともかくまだ物語は続くようですので、追いかけたいと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年12月7日
読了日 : 2018年12月7日
本棚登録日 : 2018年11月26日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする