ノマドライフからのリファレンス。
仏大統領の諮問委員会としてアタリ政策委員会の委員長を務める著者により、かつて手塚治虫が「火の鳥」で鳴らした警鐘に近いトーンの、決して明るくない未来が、2050年頃国家の解体が始まるとされるまで展開される。
冒頭「日本語版の序文に変えて」から、歯に衣着せぬ日本の未達課題が淡々と提示される。第一に、既存産業、不動産による超過利得、官僚周辺利得を過剰に保護しすぎたため技術的ダイナミズムを犠牲にしているとあり、第二に、海運業ほか海上覇権にもかかわらずアジア圏の友好的な地域関係を創出できていないとあり、第三に、外国からのアイデア、投資、人材を幅広く受け入れられていないために、クリエーター階級を育成できていないとある。
特に第二の課題が軍事コストに繋がり、2025年の日本の経済力は世界第五位ですらないかもしれない、と述べられている。否定できるだろうか。
地獄の底のような将来で子孫を徘徊させないために、別の未来をぶつける必要があり、本書を通じて述べられるような未来を予見し、超民主主義と著者が呼ぶ、気候変動の抑制、水やエネルギー資源の再生、肥満と貧困の解消、非暴力、民間企業の公益重視にむけた合理的な活動を経験していく必要があるとしている。
民主主義を否定するのではなく、民主主義の本来的な姿を省みて共有し、SRIやマイクロファイナンスに見られる資本回収のあるべき姿を提示している一冊。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2012年8月26日
- 読了日 : 2012年8月26日
- 本棚登録日 : 2012年8月26日
みんなの感想をみる