官僚たちの夏 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1980年11月25日発売)
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本棚登録 : 3038
感想 : 335
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これを読んだのは、随分前のことだ。
官僚にもすごい奴がいる
と ひどく感激したものだった。

『自由化したらアメリカに負けてしまう という 強迫観念と
通産省のチカラで 民間産業を育てる という強い意志がある』
国の未来を考え、国を動かす通産官僚。すごいぞ。熱いぞ。
という物語である。
日本の敗戦後の経済成長のなかで
通産省が どんな役割をしたのか?
国内産業の保護というのは 
戦後の一時期は 必要だったかもしれない。

国内産業保護派
『赤ん坊を寒風にあてたら、強くなるどころか風邪をひく、
命にかかわることもある』
国際貿易推進派
『日本経済はもはや赤ん坊ではない。
過保護にすると、子供はいつまでもひ弱なままだ』

風越のモデルは「佐橋滋」
通産省大臣官房秘書課長→重工業局次長→重工業局長→企業局長→
特許庁長官→事務次官
風越信吾 は 「ミスター通産省」といわれるオトコ。
そういわれても・・・当然という顔をしているほど
心臓の強いというか、心臓がないオトコだった。
『あいつは サムライだ』というのが ほめ言葉らしい。

それぞれモデルがあった。

この経歴を見ていると 天下り は当たり前なんですね。
そういう意味で 佐橋の 身の処し方が 清いかもしれない。

問題は 個人的な人間評価 をポイントにするのではなく
風越信吾 が 何をしようとしたのか?
という 通産省の官僚としての 行動評価が いるような気がする。
日本の進路 を 個人の枠にはめて考えるのは
いい手法とはいえない。
もっと 客観的な目がいる。
城山三郎の 風越信吾に対する高い評価が そのまま
再現されるのは どうなのだろうか? 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経営/戦略/マネジメント
感想投稿日 : 2019年2月18日
読了日 : 2019年2月18日
本棚登録日 : 2019年2月18日

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