狐笛のかなた (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2006年11月28日発売)
4.12
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本棚登録 : 6727
感想 : 676

うーん、爽やかというか素敵なお話だった。優しい気持ちになれる本。日本昔ばなしみたいな、和物ファンタジー。
上橋菜穂子さん初読みです。とにかく綺麗の一言。流れるようにさらさらと情景,言葉が目に入ってきます。読み始めてすぐに物語に入り込めました。この導入でサラッと入り込めるのは何なんでしょうね?逆に入り込めない本って何がちがうんだろう?

野火の純粋さ、ひたむきさには本当に心打たれた。同じく周りの動きに翻弄されながらも自分を見つめ行動する小夜の戸惑いと優しさと野火への思い。後半、「野火と小夜」の章からは、何度も涙ぐみ涙ぐみ。
前半は良くできた童話だ、子供に良いよね、と思いながら読んだけど、いやもう最後にはドップリ満喫。でも、やっぱり子供時代に読むのが良い気がするなあ、これは。ひたすら素直に相手のことを思う、そのことを感じられる本だと思う。

読みやすさのせいか、ちょっと物足りなさを感じたのも事実。まあ、これもケガレタ大人の心持ちのせいか・・・。
敢えて愚かな選択をしてしまう、、鈴の諭すような話がまた染みる。

ちょうど「秒速5センチメートル」を読み終えた後。若桜野の桜にそれぞれの想いというか、ホッとした幸せを感じる。ほんと日本人って桜に想いがこもるね。
最後は野火、小夜、小春丸の三人で胡桃餅を仲良く食べるシーンが見たかったかなあ・・・

良い本が読めたなー、と素直に感謝。

終章のページがすごい少ないのにビックリ。え?え?え?と読み直してしまった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年11月15日
読了日 : 2012年11月15日
本棚登録日 : 2012年11月15日

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