蛮族に追われてラグーナに逃れ、そこから文字通り物理的にも制度的にも都市国家ヴェネツィアを創立し、やがて高速海路網を確立するにいたる第4次十字軍までを描く。ここで特筆すべきなのは、他の一般の歴史書とは違って、「物理的な建国」をヴェネツィアの基礎として位置づけていること。まず、何はともあれ、それこそがヴェネツィアだけが持つ特異点なのである。また、冒頭に紹介される守護聖人サン・マルコのエピソードも実にヴェネツィアらしい。すなわち、それが例え禁を犯したものであろうと、お金で買ったものであろうと全く気にしないのだ。
守護聖人サン=マルコと、それに伴う有翼の獅子のシンボルを手に入れたことは、それ以降のヴェネツィアの発展に大いに寄与したに違いない。それにしても、いともあっさりとそれまでの自分たちの守護聖人、聖テオドーロを捨て去るところがヴェネツィアのヴェネツァイアたるゆえんだ。マキアヴェリでさえ驚くに違いない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
☆歴史
- 感想投稿日 : 2014年3月11日
- 読了日 : 2014年3月10日
- 本棚登録日 : 2014年3月11日
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