1991年上半期芥川賞受賞作。著者の荻野アンナは慶應義塾大学文学部教授で、フランス文学専攻。たしかラブレーの研究家だった。ただし、作家としての彼女の作品はラブレーには似ていない(たぶん。実はラブレーをよく知らないのだ)。30歳前後の、売れないイラストレーターの「わたし」の一人称で語られる、ある種の恋物語。同棲相手のジュリーとの関係も「ネラネラした」まま。そうした浮遊感の中に独特のリアリティが感じられるが、到達点は誰にも示すことができない。そこがこの作品の新しさといえばいえるだろうか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
☆日本文学
- 感想投稿日 : 2013年9月28日
- 読了日 : 2013年9月19日
- 本棚登録日 : 2013年9月28日
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