鬼はもとより (文芸書)

著者 :
  • 徳間書店 (2014年9月10日発売)
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本棚登録 : 316
感想 : 44
4

予約をしていたこの本が手元に届いた直後に直木賞候補になったと発表になった。
もうちょっと遅かったら順番がなかなか来なかっただろう。ラッキー!

苦手な時代小説である上にテーマは藩札。
藩札とは各藩の領内でのみ流通する紙幣の事。
貧しい国では領内の経済流通を活性化させるために藩札を発行したんですね。
主人公は藩札掛を任命された奥脇抄一郎。

いや、最初は正直つまらなかった。
経済の話をされても良く分からんし、なかなか物語が動かない。
藩札を増刷に反対した抄一郎が国を飛び出し江戸でひっそりと暮らしていた。。
やがて藩札の指南役として北の小藩の経済を立て直すことになる。

お!段々面白くなってきた。
「鬼はもとより」というタイトルだけど、鬼って誰??と思いつつ読む。
鬼は執政である梶原清明だった。
いやー、この清明さんが格好いいのなんの。
命を賭して財政再建に取り組む姿は非道そのもの。
だがその裏の姿を抄一郎は見抜いている。

「誰よりも鬼に向かぬものが、誰よりも厳然と鬼をやっている。顎を震わせながら、鬼をやっている。」

しびれました。
本気で国を変えたいと思ったら、このぐらいの気概がないと。
最後は思わず涙涙になってしまったこの小説、とっても良かった!!
どこぞの国の首相への強烈な皮肉に思えて仕方がなかったのは内緒です(笑)

今回の直木賞、難しいなあ。
この作品も良かったし、大島さんにももちろん受賞してほしい。
今予約中の「サラバ!」も楽しみにしているし。
困りましたね・・・。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年12月24日
読了日 : 2014年12月23日
本棚登録日 : 2014年12月24日

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