前作の再読熱に乗って、こっちをついに初読。我ながら長く積みすぎ。名作の続編に警戒感を抱いたのはあるかも。いざ読んでみれば色々衝撃的だったから、時間を置くこと自体は正解だった気がしないでもない。
やけに誤植が目についた。これは多いと思う……(なお初版)。
ジェーンが出版にこぎつけた物語を読んで育った少女ローレンが主人公。前作の余韻の熾火に水をぶっかける趣が少なからず、また著者も意図してのこととしてあるので、ファンの間でも好みが分かれそう。とはいえ、ジェーンの物語がジェーンの主観のもと語られているのと同じように、それが嘘や浮ついた感傷だと言う人も、自身の主観のもとそれを言っているのだから、割り切って読めばさほどしんどくはないのかも。要は物語という嘘を楽しめれば儲けもの。私はおおむね楽しめた。思うに、前作と同じようなスタンスで読むとだれる。話の展開上、ローレンが自ら行動していても結局は流されがちなせいか。その陰謀めいた部分が核心だから仕方ない気はする。
ロボット達が非常に活発に動いているのがまず衝撃。首輪で繋がれているとは言いつつ、人間とロボットとの支配-被支配関係が逆転するというよくあるあれに向かって一直線だった。正直なところこれ自体にも驚いたのだけど、支配-被支配関係がテーマのひとつだから、あるいは当然なのかも。
それにしても、シルヴァーからは考えられないほど支配的なヴァーリスと反発するローレンとの間にだけ、愛の絡んだ抵抗や葛藤があって、その他の人々は完全に無力だったように見える……が、このあたりは単に描写の外だったんだろうか。シルヴァーだけが規格外だったことを知りながら、ヴァーリスを筆頭にロボット達の反逆を許してしまったのがちょっと解せない。
色々あったけどふたりの着地点には安心、したところでそれよりさらに大きな希望を見た。いつか彼とジェーンが巡り合えるといいな。
- 感想投稿日 : 2019年12月31日
- 読了日 : 2019年12月31日
- 本棚登録日 : 2019年12月31日
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