はじまりの物語: デザインの視線

著者 :
  • 紀伊國屋書店 (2007年4月1日発売)
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本棚登録 : 150
感想 : 15
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ブックデザイナーの著者が、〈対〉〈速度〉〈遠近法〉など、デザインの基盤となる概念のルーツと発展を縦横無尽に語り尽くすビジュアルブック。


アナロジーによってページ狭しと貼り付けられた図版を眺めるだけで楽しい。「読みやすさの追求」「豊穣なシンプル」の文字組みの話は専門だけあり、特につっこんで語られている。『デザイン偉人伝』と重なるところも多い。
エッセイとしては「レディメイド」の章が一番面白い。デュシャンから出発して既存のモノの利用法や意味を読み替え、価値を転換する行為自体を〈レディメイド〉と呼ぼうという提案。利休のエピソードなどを加味すると詐欺めいたところもあるが(そもそもデュシャンが詐欺っぽい)、現代アートを見る上では不可欠な視点。引用・盗作・サンプリングなんでもござれのヒップホップ的、というほうが伝わりやすいかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ヴィジュアルブック
感想投稿日 : 2022年5月28日
読了日 : 2022年5月27日
本棚登録日 : 2022年5月28日

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