蒼穹のかなたへ 下 (文春文庫 コ 6-3)

  • 文藝春秋 (1997年8月1日発売)
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本棚登録 : 157
感想 : 4

 でゴダードの「蒼穹のかなたへ」
 「闇に浮かぶ絵」が、ものすごい評判になっていて、それで名前に記憶がありました。で、古本屋で「リオノーラの肖像」をゲットして…打ちのめされました。
 圧倒的な筆力と構成力、ただのゴシックホラー小説になりそうなテーマを、しっかり社会派でしかもヒューマンにまとめるなんて、どんな人なんだと驚愕しました。
 そしてわくわくして、ゲットした「蒼穹のかなたへ」

 ギリシャの島で、落ちぶれた男がイギリス女性を観光案内する。その女性が、突然姿を消し、男は誘拐したと疑われる…。
 
 ゴダードは、だめ男を描かせると上手いんだけど、この主人公は特にぴかいちです。
 だらしないのに、かたくな。いい加減なのに、くじけない。人は、相反するものをそれぞれに抱えて、それのバランスを取りながら生きているのだと、へんに気づかされます。
 そして、衝撃のラスト。
 実はこの帯はね、って思うところがあるんだけど、帯を考えた人も、これ以外に言葉がなかったんだろうな。うん、絶対そうに違いない。そういうラストです。
 ラストは、号泣もんでした。

 この主人公、のちに「日輪の果て」で再登場します。
 自分の知らない間にできた子供に翻弄される話。
 これも、泣けます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 翻訳作者名 カ~コ
感想投稿日 : 2010年4月24日
読了日 : 2007年2月24日
本棚登録日 : 2007年2月24日

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