ドン・キホーテとサンチョ・パンサの主従は、囚人を護送している集団に出会うが、妙な義侠心を発揮したドン・キホーテがこの囚人たちの解放を主張、護衛たちと闘ってなんと勝利をおさめてしまい、囚人たちが野放しになってしまう。しかも恩知らずの彼らはドン・キホーテに感謝するどころか、主従の身ぐるみをはぎ、サンチョのロバも盗んで逃走。
やがてシエラ・モレーナ山に入った二人は、奇妙な若者カルデニオと遭遇。カルデニオには幼いころから両想いのルシンダという美しい恋人がいたが、結婚のための許可を父親から得るタイミングをのがしているうちに、友人で金持ちの次男坊ドン・フェルナンドに裏切られ先を越されてしまう。両親が金持ちのドン・フェルナンドの求婚を受け入れたため、ルシンダは泣く泣く結婚式に臨む。宣誓のあとルシンダは失神してしまうが、ひそかに現場を見ていたカルデニオはルシンダに裏切られたと思い込み発狂、遁世のためシエラ・モレーナ山までやってきて、時折狂気の発作に襲われながら暮らしているのだった。
ドン・キホーテのほうは、妄想の想い姫ドゥルシネーアへの恋慕の情でこちらも狂わんばかり(そもそももとから狂ってるのだけど)それを行動で示そうとあれこれ騎士道物語の主人公を真似ようとするが、結局彼のやったことは「下半身まるだして宙返り」でした(笑)ここで思い出すのは騎士道ものの古典マロリーの『アーサー王の死』、以前読んだときに、恋ゆえに狂気に陥ったランスロッドがパンツをはかずにシャツ一枚で窓から飛び出し2年間彷徨するくだりで爆笑したものですが、ドン・キホーテ、これはやはりランスロリスペクトということでよろしいでしょうか?(笑)
そんなわけでサンチョ・パンサはドン・キホーテから姫へのラブレターを届けに行くことになり、来た道を戻るのですが、その途中、行きがけに酷い目にあった宿で、ドン・キホーテの友人の司祭&床屋(※1巻で焚書していたコンビ)とバッタリ出くわす。ドン・キホーテを正気に戻すための計画を立てた三人は、一緒にシエナ・モレーナ山へ行くことに。そこでまたしてもカルデニオと遭遇、さらに、川辺で嘆く謎の美女ドロテーアとも遭遇。彼女の身の上話を聞くと…なんと彼女は、カルデニオの憎き恋敵ドン・フェルナンドに言い寄られて寄り切られたあげく捨てられた被害者だった。そして彼女はルシンダの続報(カルデニオへの愛を貫くため自殺する覚悟であったこと、結婚式の後行方をくらましたこと)ももたらす。
利害関係の一致したカルデニオとドロテーアに、司祭&床屋も協力を約束、まずはドン・キホーテを連れ戻すための計画に、二人の手も借りることに。ドロテーアは架空の国の王女になりすまし、ドン・キホーテに巨人退治を依頼、まんまとドン・キホーテを騙して一行は出立することに。ここでまた例の旅籠に泊まることになり、実は騎士道小説好きだった宿の主人から面白い本『愚かな物好きの話』をすすめられ、この小説の内容がしばらく続く。
さてその中身は…親友同士の二人の若者、アンセルモとロターリオ。アンセルモのほうがカミーラという女性と結婚、空気読めまくりのロターリオは、親友といえども家庭を持った友人を独身時代と同じように訪問するのは失礼と思い交際を控えるが、アンセルモはこれが不満。なぜか突如、妻の貞操を試すため、ロターリオに自分の妻を誘惑するよう懇願。ロターリオは正論を述べて断ろうとするがアンセルモは泣き落とし、渋々友の懇願を受け入れたロターリオは全然計画実行する気なかったが、そのうち本気でカミーラを好きになってしまい、カミーラもまた…。で複雑怪奇な三角関係勃発。それにしてもアンセルモがバカすぎてイライラ。
- 感想投稿日 : 2023年10月8日
- 読了日 : 2023年10月7日
- 本棚登録日 : 2023年10月5日
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