雑学豆知識ではなく、深い洞察に支えられた「歩き方立ち方着こなし方」を通して学ぶ日本の身体技法と美の基準。
確かに、言われてみればその通り。欧州人は歩く時に膝から下をかなり前方に投げ出し、踵をカツカツと着地しながら歩いている。一方の私は、骨盤をやや前傾させ膝から下だけをチョコマカ摺り足で歩く。親指やその付け根あたりに重心がある。ふむふむ。
佇まいの美学。それが様々な身体技法を通じて行動や振る舞いの価値観にまで影響しているなんて、面白い。
また、筆者の基本姿勢も好ましい。この手の著作にありがちなノスタルジーやナショナリズムとは節度のある距離を保ち、かつ、あちらにもこちらにも肩入れして「この観点ではこういうのが美しいのだ」と抑えつつも隠しきれない情熱が伝わってくる。
現代の着物の着付けが100年前の着付けとはかなり違うという指摘など、変わらない芯と不変に見えてそうでもない皮の描写も素敵。
元トップアスリート、今学者。行動と観察。理論と実践。高いレベルでバランスされてます。
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- 感想投稿日 : 2012年2月2日
- 読了日 : 2012年2月2日
- 本棚登録日 : 2012年2月2日
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