ターミナル DTSスペシャル・エディション [DVD]

監督 : スティーブン・スピルバーグ 
出演 : トム・ハンクス  キャサリン・ゼタ=ジョーンズ  スタンリー・トゥッチ 
制作 : アンドリュー・ニコル 
  • 角川エンタテインメント
3.51
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本棚登録 : 1550
感想 : 299

これを「BS FAN」で戸田奈津子さんがとりあげておられました。
印象に残るセリフとして
「この国の基盤は、人間重視と思いやりだ」
という言葉を挙げられていました。
規律重視の入国審査官をその上司がいさめる言葉です。
母国がクーデターで消滅してしまったことで
「法律の穴」に落ち込んでしまい、
空港に住むことを余儀なくされた主人公ヴィクターは、
法律で「どこの国のひとでもない存在」だけど
空港で「その場所の皆に愛される存在」でした

八方塞(はっぽうふさがり)に思えても、前に進めなくても、
どこの国のパスポートよりも確かにひとのこころを繋げる
大切なものがあることを想いました。

戸田奈津子さんが選んだ言葉と映画の核は、
さすが!強く繋がっているように思います。

もうひとつ、監督には、
アメリカを母国に持つ人々に向けられている想いが
あるのではと感じました。

1980年代後半に、旅行でアメリカに行ったことがある私、
目の前で確かに英語を喋っていたひとが、
中国語やスペイン語も操り、
近しい人とは、英語とは違う「母国語」で話している姿をみて、
最初は不思議に、でもだんだん悲しくなってきました。

ほとんどの人が空港を通って入ってくるけど、
みんながこの国を母国と思っているわけではない現実がありました。
その旅行の数年後、ニューヨークで乗ったタクシーの運転手さんは、
笑顔がステキな楽しい人だったけど
「先週チリから出稼ぎにきたんだよ!」っておっしゃっていました。

全ての人に開かれている国だけど、背景がおなじとは限りません。
それは、そこで暮らすひとにとって、
こころに少なからぬ影響を与えるように思います。

「法律も、お互いを保護できるものもたくさんあるけど、
そして不安もいっぱいあるけど、いつか確かに持っていた、
みんなで積み重ねたはずの大切なものを忘れないでいたいんだ」
っていうささやきが聞こえたように思いました。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 映画
感想投稿日 : 2013年8月7日
本棚登録日 : 2013年8月7日

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