作者あとがきにある「日本の国の外で日本人に読まれた時に懐郷の情を一入(ひとしお)そそるらしい」というのは、まさにこの作品が支持される理由の筆頭なんだと思う。
私は東京生まれ東京育ちだけど、『雪国』の情景に何故かノスタルジーを掻き立てられて、懐かしいような切ないような悲しいような、そんな気分にさせられた。そういう、田舎育ちの人も都会育ちの人も、老いも若きも、日本人が心のどこかに持っている「ふるさと」という概念を美しく描き出し、懐郷の思いを揺さぶる作品であるからこそ、多くの人々の心を強く打ってきたんだと思う。
他の川端作品と同じようにストーリーは特になく、ただ、一瞬一瞬の情景の美しさ、感情の美しさを切り出して、絵画のように描き出してる。
ストーリーを追おうとするとそっち方面の情報量が少なすぎて大変なので、話の状況把握に労力を割くよりも、そのページのそのシーンをそのまま映画のワンシーンを見るように楽しむのが一番良いのかな、と思う。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2016年11月2日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2016年10月31日
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