愚者のエンドロール (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2002年7月31日発売)
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古典部シリーズの3作目にとても感銘を受けたと語っていた好きなミステリー作家さんがいたので、せっかくならと1作目から読んでみていた。

しかし、この2作目では、やはり米澤さんの作品は私には合わないかもしれないとの思いを濃くしてしまった。(あくまでも個人的な感想です!ファンの方すみません)

1つ目の理由は、作中で用いられる言葉や言い回しがやたらと難しく、普段、ましてや高校生が使う言葉ではないと思えて、とても気になってしまったこと。
私自身たまに”そんな難しい言葉はふつう使わないよ〜”と周りから指摘されてしまう方なのだが、その私から見ても難解で堅苦しい言葉が多すぎるように思えた。
例えば、(飲み物を)注文すること=誂える、と表現する現代の若者を、少なくとも私は知らない。

2つ目の理由は、そうした言葉の重厚さや、登場人物たちの切れモノぶりに対して、謎の規模が小さく、トリックも単純であるように、どうしても感じてしまうこと。

「黒牢城」を読んだ時、物語全体のスケールの大きさや登場人物の大物ぶりに比べて、ミステリー的な部分の規模が小さすぎ・単純すぎで“アンバランス”だと感じていたため、このシリーズの1作目を読んだ時は、高校が舞台で高校生が主役といった日常の方が、トリックの規模に見合っていいのかもしれない、と思った。
でも、やはり主要登場人物たちの考えの深さと鋭さ、文章表現の難解さを考えると、謎と解の部分が浅いように思えてしまい、私の中でアンバランスさが完全に払拭されることはなかった。

この2作目は、1作目より仕掛け部分が上手く捻られていたようには思うのだが、後味があまり良くなかったがために、最終的に残念な思いがより大きく残ってしまったのかもしれない。

しかしながら、もう米澤さんの本は読まない!とかいうことでは全然ないので、本命の次作に期待したい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー小説
感想投稿日 : 2023年12月15日
読了日 : 2023年12月10日
本棚登録日 : 2023年12月15日

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