グラスホッパーを読んで、これは超えられないと思ってマリアビートルを読んで、これこそが最上だなと思った後に読んだAX。
殺し屋シリーズで涙するとは思わなかった。
前2作の登場人物たちにもかなり愛着を抱いたし、迎える運命には辛い思いをしたけれど、今回はそれとはまた違う深い感情。
物騒と日常の境目が馴染んで、やけに現実味があるというか、のめり込みやすいというか。
過去作のようなスリルを求めたら物足りなさは否めないけれど、その分「殺し屋」という人種の内面にフォーカスして、どこにでも居そうな感じで描いているところが魅力的な一冊だと思う。
実際には知りようもない業界の人間の苦悩を、ダークでユーモラスな短篇集で覗かせてくれる。こんな小説が書けてしまう伊坂さんはやっぱりすごい、と、毎回思う。
解説で、兜はカブトムシに由来すると書かれていたけれど、うるさい蝉やでかい鯨のように、意味があるのだろうか…?
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年8月1日
- 読了日 : 2023年7月31日
- 本棚登録日 : 2023年7月29日
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