破戒 (岩波文庫 緑 23-2)

著者 :
  • 岩波書店 (2002年10月16日発売)
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本棚登録 : 648
感想 : 66

世間が作り上げた軛があまりにも大きすぎて、自らもそれを打ち破れない。
自分を認めるというそのことですら、自分の価値を認めるという意味とは全く違う。
そして、その軛に苦しむ彼らですら、「女は」とまた別の差別を当然のように行う。
それが当時の世間が作り上げた「普通」で、それから外れることは難しく、また考えもつかない事であった。
今を生きる私たちは、それが軛であることも、普通ではないことも知っている。
知っているが、ではその軛から完全に開放されたのかと言えばそうではない。
昔話だと笑える時代にはなっていない。
いつかこの小説が、時代背景の解説なしに読めないような時代が来るのであろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年1月20日
読了日 : 2021年1月20日
本棚登録日 : 2021年1月20日

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