世間が作り上げた軛があまりにも大きすぎて、自らもそれを打ち破れない。
自分を認めるというそのことですら、自分の価値を認めるという意味とは全く違う。
そして、その軛に苦しむ彼らですら、「女は」とまた別の差別を当然のように行う。
それが当時の世間が作り上げた「普通」で、それから外れることは難しく、また考えもつかない事であった。
今を生きる私たちは、それが軛であることも、普通ではないことも知っている。
知っているが、ではその軛から完全に開放されたのかと言えばそうではない。
昔話だと笑える時代にはなっていない。
いつかこの小説が、時代背景の解説なしに読めないような時代が来るのであろうか。
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- 感想投稿日 : 2021年1月20日
- 読了日 : 2021年1月20日
- 本棚登録日 : 2021年1月20日
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