神様の御用人 (メディアワークス文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2014年11月20日発売)
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 「神様の御用人」シリーズの第1作。
 野球以外はすべて人並み,その野球推薦で大学に進学し,強豪社会人野球のチームに進んだ萩原良彦。
 だが,練習中の怪我で右膝の半月板を損傷。さらに,チームを持っていた会社の業績悪化で野球部は廃部が決まった。
 会社内での居心地が悪くなった良彦は,入社わずか半年で退社,その後フリーターでアルバイトをしながら,宙ぶらりんな生活を続けている。
 そんなある日,良彦が一人の老人を助けたことから,一冊の冊子を預かることになる。
 これは,宣之言書(のりとごとのしょ),神様からの御用を聞き届ける書であった。
 良彦は,神様の御用を聞き,願いを叶える役目を担うことになった。

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 古都,京都を中心に,神々からの願いを聞き届けるために奔走する良彦。
 神道への造詣も人並み程度の良彦が,もふもふの狐神・黄金と一緒にあちこちの神社に行き,神様からの御用を賜る。
 フリーターで生きていく目的もよく見えずに頼りない良彦。その良彦が,神様からの様々なお使いを通じ,少しずつ成長していく感じがいいです。
 境遇から,ちょっと投げやりだった良彦が,神様から物事を頼まれるようになって,だんだん自分に自身を持っていくんだろうなあ。そんな中で生きる意味とか,人間と神様の関わりとかを考えていくのかなと感じました。

 また,古事記や民話に出てくる神様について,こんな神様がいるのか~と,信仰心も薄く古典が苦手だった自分には知らないことだらけでした。
 でも,それらの神様がなんとも生き生きしていて面白いです。

 個人的には,とにかく狐神の黄金が可愛い。めっちゃツンデレ感があってめんどくさくって,でもスイーツ好きの神様って,なんかほっこりする。

 また,一回読んだあとに,プロローグとエピローグ部分である「語り部」を読むと,まあ,なんともエモい。そうかあ,良彦はそういう人なのかと。

 このあと,シリーズは10巻まで続いているので,ゆっくりと読んでいきたいと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2021年4月23日
読了日 : 2021年5月21日
本棚登録日 : 2021年4月23日

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