内田、名越、橋口という仲よし三氏の鼎談……というよりは男二人が好き勝手しゃべり、橋口さんが有能な聞き手と翻訳家とファシリテーターを兼ねている感じだろうか。「女の子って男に比べて特だよね」みたいなことも話してて、このお二人でもそんなこと言っちゃうんだってちょっと冷める気もしたけど、やっぱりこういう人たちの話ってうなずける。
少し前にけっこう評判だという『ニュータイプの時代――新時代を生き抜く24の思考・行動様式』(山口周著/ダイヤモンド社2019)を読んでて、同書の「これまでは問題解決力が問われたけど、問題解決の方法やツールがあふれる今、これから問われるのは問題提起力だ」みたいな論には納得したり新たに認識したりしたんだけど、結局は何だか効率よすぎるような、小器用な感じがしちゃって読了できなかった。それに比べるとこの本の論調は自分になじむ感じ。「仕事の作法」なんてタイトルだけど人生そのものに反映すべき。
それにしても30過ぎてバッティングセンターでプロ野球にスカウトされるのを夢見てる人のたとえとか、英語の迷惑メールをルーカスフィルムからのオファーかもと思ってしまう橋口さんのたとえとかで述べられていたこと、身に染みた。
要は、何かになるために夢見ることがあっても、それが荒唐無稽なものだったり他力本願ではかなわないということだと思う。そして自分は努力せず偶然夢がかなうことを夢見るばかりだなと。そう、自分の経験を振り返っても、たしかに実現することはその過程でも何となく確信があるもの。「夢をかなえる」ということの本質を認識できた感じ。夢見ることで満足して……いや、夢のままにしておくために何もやらなかったりしている気も。ついついいろんなことを夢見てるけど、整理したほうがいいかも。
- 感想投稿日 : 2021年3月21日
- 読了日 : 2021年3月11日
- 本棚登録日 : 2021年3月11日
みんなの感想をみる