黒沢明監督の現代映画『生きる』がイシグロカズオ氏の脚本でリメイクされたと聞き、改めて生きるを視聴しよう!と思った矢先に出会った一冊です。
黒沢監督はこのトルストイの短編から着想を得て、死を間際にした男が何を考えるか、説こうとしました。
本作品はその原型として読んでみたのですが、似た展開をしつつ、違うものです。
黒沢映画は、作中で主人公の死を突然挟むことで、観るものに驚きを与える効果を狙ったようにみえます。
前半だけ観ていたら『もしかしたら彼は助かるかもしれない』と思うこともできる。
対して、トルストイはそういった驚きよりも、不可避の死を冒頭数ページで描写します。
助かるかどうかという可能性はゼロにして、必然的に起きる死に対して、その過程が書かれます。
最期の数時間の描写は三度読みするほど迫真です。
この原作と『生きる』、そして2023年公開の『living』を一気見して、三者三様の死との向き合い方を比べてみようと思います。
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- 感想投稿日 : 2023年3月1日
- 本棚登録日 : 2023年2月26日
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