何者

著者 :
  • 新潮社 (2012年11月30日発売)
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第148回直木賞受賞作。2023新潮文庫の100冊のヤバい本に文庫版が選ばれています。


面白いです。

最初に登場人物のSNSの紹介文があります。ここに書かれている内容が全く覚えられなくて苦手かも…と思っていました。(この部分は覚えられなくても大丈夫)
最初の20ページぐらいまでは、小刻みに戻りながら読みました。
帯に「あんた、ほんとは私のこと、笑ってるんでしょ」と書かれてるので、誰かと誰かが喧嘩をするのはわかっています。それが、いつ、どこで、誰が誰に、なぜこのセリフを言うのだろう、どういう結末になるんだろう、と楽しみにして読み進めました。

主人公拓人、ルームシェアしている光太郎、光太郎の元カノ瑞月、瑞月の友人理香、理香と同棲している隆良。それぞれの努力と妥協の就職活動の話です。
この5人の焦りも、友人に弱みを見せたくない気持ちも、友人の内定を単純には喜べない気持ちも、手に取るように伝わります。

『名刺に並べてあるような肩書を盾にしないと、理香さんは何も話せないんだと思った』
これは留学経験や海外ボランティアなど様々な経歴を名刺に書き、名刺を配って人脈を作りながらもグループディスカッションで失敗する理香に対して拓人が感じたことです。
この言葉に、何人かの上司たちを思い出しただけでなく、私自身の態度にも心当たりがあって、恥ずかしさを感じました。

最後の方は名言だらけです。
何者かになりたい中二病の中学生から、もう何者かにもなれないであろう大人まで、突き刺さる1冊です。
また読み返します。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年8月15日
読了日 : 2023年8月15日
本棚登録日 : 2023年8月15日

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