なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか? (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 78)

  • 早川書房 (2004年3月15日発売)
3.66
  • (32)
  • (76)
  • (78)
  • (7)
  • (2)
本棚登録 : 740
感想 : 72
4

『なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?』
なんとも印象的なタイトルです。「どうして頼まなかったんだろう?」と誰しも不思議に思うことでしょう。個人的には『そして誰もいなくなった』『鏡は横にひび割れて』に次いで好きなタイトルかもしれません。

この本を知ったのは、改めてクリスティーを読んでみようと思い立ち、書店の本棚を眺めていたとき。
有名だけどまだ読んでいないタイトルがずらりと並ぶ本棚で、ふと目に飛び込んできたのが本書でした。
購入したものの積読の列に並び……この度やっと読むことができました。うん、クリスティーは何を書いたって面白い!

今作の主人公は牧師の息子ボビイと伯爵令嬢であるフランキー。
たまたまボビイが崖から落下した男を看取ることになり、その謎の男が残した最期の言葉が「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」でした。
持ち前の好奇心と貴族の権力を駆使して潜入捜査を試みるフランキー。この展開は、あたかも少年少女の冒険譚といった雰囲気で微笑ましく読めました。
「そんなにうまくいくわけない!」なんて野暮なツッコミはノンノンです。これはワクワクしながら楽しく読むものなのですから。
いつも通り殺人事件は起こるものの、お子様が読んでもわかりやすい一冊なのではないかと思います。

とっても可愛らしい関係のボビイとフランキー。
今作だけのコンビなのが残念……もっと二人の冒険を見てみたかったです!
ポアロやマープルとはまた違った雰囲気だけども、やっぱりこれも面白い。さすがです、クリスティー。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月12日
読了日 : 2024年1月12日
本棚登録日 : 2024年1月12日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする