単純な脳、複雑な「私」 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社 (2013年9月5日発売)
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どこで知ったのか全然忘れてしまったのだけれど、タイトルを妙に覚えていたのでバリューブックスさんでポチった。

脳の研究をしている著者が、20年前に卒業した母校で脳科学の最前線を講義したものを収録している。
最前線とは言え、2009年初版なので、今とは少し変わっていることもあるんだろうか。

まず、全校生徒の前で行った講義が第一章。興味深くて、わりと身近で、感覚的にわかりやすい脳科学の実験の例を羅列しながら、脳について面白おかしく解説してくれる。ここのパートは理解し易くて本当に読んでいて面白かった。

そして、第二章以降がその講義で興味を持った生徒たち9名を選んで3日間行われた連続講義。

日を追うごと、章を重ねるごとに私にとっては難易度が上がる。
これ理解できてる高校生、すごい!

イラストや図解、はたまたQRコードまでついていて、より分かりやすくしようという工夫が満載。
ただQRコードは古いからかな、
読めなかったのが残念でした。

難しかったながらも、面白いなと思ったのが、
僕らの「自由」は、
自由意志ではなく自由否定
というくだり。
しばしばネットで見かける、
人の品性は何を言うかではなく何を言わないかだ、に通じるものがあるなぁと感慨深い。

それから、脳のゆらぎ、ノイズが脳の駆動源であるという考察や、フィードバック機能がもたらす脳の認知としての時間が歪む話など、絶対面白いのにちゃんと理解できてないのが悔やまれる内容盛りだくさん。
最終的に、内省しているといつもぶち当たる壁が、脳で考えるからこその無限の入れ子構造であるという着地には心底なるほどなぁ。

いやいや、脳科学。
難しいけどめっちゃ面白い。

こらはちょっと時間を置いて絶対読み返そうと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年10月12日
読了日 : 2023年10月12日
本棚登録日 : 2023年3月16日

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