ドゥルーズによる整理は圧倒的な冴えを見せているが、本書においては、彼自身のカント哲学に対する評価や独自の視点が前面に押し出されることは少ない。(不明)
『カントの批判哲学』には、諸能力の構造論的な体系性と(超越論的)構造と発生を矛盾なく思考するという論点を、カント哲学そのもののなかに見いだそうとする企図がある。これは、60年代のドゥルーズを索引していた問題意識であるとともに、主著である『差異と反復』に結実する。この意味で本書はドゥルーズがカント哲学をどう理解し換骨奪胎することで自らの哲学を形成したのかを知るための手がかりとなるだろう。(小林卓也)
読書状況:未設定
公開設定:公開
カテゴリ:
ジル・ドゥルーズ
- 感想投稿日 : 2010年9月19日
- 本棚登録日 : 2017年9月3日
みんなの感想をみる