悪魔の涎/追い求める男: 他八篇 (岩波文庫 赤 790-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003279014

感想・レビュー・書評

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  • 現実と非現実の境界線が曖昧な、独特の世界観。
    読後感がふわっとしているところはボルヘスと似ているなあと思うのだが、こちらの方が後に残る感じがする。
    何となく、ボルヘスは広い世界とか運命とかを描き、コルタサルは人間の内的世界を描いているような気がする。
    と、感想までが曖昧模糊となってしまった。

    ジョン・ハウエルへの指示が印象に残っている。
    冒頭のインパクト勝ちって感じ。

  • 一見どれもはじめはどことなく倦怠感のある流れを感じさせるのだが、それからじわじわと目の前のものが崩壊していく、あるいは急速に目覚めに向かうがごとく動きだしていく、その変化や切り替えが見事。

  • アントニオーニの映画『欲望』の原作、コルタサル「悪魔の涎」について。

    ほんの数頁。短篇。短い。怖い、というよりシュール。
    映画と違ってとても閉じている。
    全てが写真家の目の前、というより目の中で起こっている。
    それにしても。
    時空間の歪みどころか、次元の歪みというか何というかの連続。
    ふと気づくとあちら側とこちら側が交叉してる。
    それでぞっとする。
    立体的で時間も縦に一方向に流れている四次元の現実と
    フレームの中に切りとられた三次元の写真、その中の現実。
    ないはずの時間と動き、流れ。変更、いや変質?
    ということは閉じているというのとは違うのか。

    因みにこれには、確か高校のときの国語の教科書にあった
    「占拠された屋敷」も収められてます。
    これ授業でやりたいって言ったら却下された気がする。

  • ラテンアメリカ文学独特の難解さがあり、何だかよくわからない短編も多かったが、「南部高速道路」の奇妙な物語っぽさが面白かった。映像化したら良さそう。ジャズミュージシャンを舞台とした表題作「追い求める男」はただの架空の伝記のように感じられていまいちだった。

  • うーん…わざとだろうが、場面が変わるのに改行しなかったりしてとても読みにくかった。これが幻想的、と言えば言えるのかも知れないが。とにかくわかりにくく、難しい言葉はないのに理解ができない。翻訳者の力量か、それともスペイン語圏の作品の特徴なのか。残念ながら良いところが見つからなかった作品集。

  • 全体的に回りくどかった。
    『悪魔の涎』も抽象的に話が進んで、結局後味の悪さだけ残った。
    『続いている公園』『占拠された屋敷』『ジョン・ハウエルへの指示』はおもしろかった。

  • ラテン文学を読む。実験的なものや、幻想的な作品集。

  •  フリオ・コルタサルの短篇10篇を収録。現実と虚構、人間の内外の境界が曖昧になり渾然となっていくこれらの作品は幻想的だが、その中であがく人間の本性や真実を描き出さんとしている点は間違いなく文学(いわゆる純文学)だと思う。
     表題作2篇の他は以下のとおり。

      「続いている公園」
      「パリにいる若い女性に宛てた手紙」
      「占拠された屋敷」
      「夜、あおむけにされて」
      「南部高速道路」
      「正午の島」
      「ジョン・ハウエルへの指示」
      「すべての火は火」

     収録作でのお気に入りは「占拠された屋敷」・「南部高速道路」・「正午の島」。

  • 津村のやりなおし世界文学のなかの1冊である。あとがきでは幻想的な小説であると書かれていた。この中で最も面白いのは、休暇からパリに戻る車が渋滞している様子を描いた南部高速道路である。

  • 幻想と現実がないまぜになった短編集。その手法と絡繰りは様々で、毎回こう来たか、となる。全編を通じて私(作者)の恐れというものを感じる。予感、恐れ、その実現。
    解説によると、コルタサルにとって科学や法則に則って記述する世界はまやかしのリアリズムである。また、悪夢やなにかに取り憑かれたとき、短編を書くことで祓えるようなものだと。
    作中の恐れはコルタサルにとってのリアルなのだろう。いずれもゾクゾクする物語だった。

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