武士道 (岩波文庫 青118-1)

制作 : 矢内原忠雄訳 
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003311813

感想・レビュー・書評

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  • おもしろい。

  • ある授業で、"What is the national narrative of your country?"と聞かれたことがある。アメリカ人の学生は、「自由の国」とか「アメリカンドリーム」とか、そんなことを答えていた。他の国から来た学生たちもぽんぽん答えていくのに、私には日本のそれが思いつかない。「サムライの国?」とか「Code of honor?」とか、周りの学生が助け船を出そうとしてくれたものの、どれもしっくりこない。結局その時はわからないまま終わってしまった。
    この本を読んで、この問いへの答えが、完全とは言えないにせよ、形になってきたような気がする。

  • サムライ。

    ハラキリ。

    ブシドウ。


    武士という存在は既に日本から消え去っているが、武士道精神は意識しないこそすれ、きっと今でも日本人の魂の底に根付いていると信じている。

    まさか…と思ったらこの本を読んでみて欲しい。
    必ずハッとさせられる部分、思わず頷く部分があるに違いない。

    個人的に5章の敦盛のエピソードど、17章の桜花に関する考察に感動した。
    きっとこれから、桜を見る度にこの本のことを思い出すだろう。

    という訳で、この本超オススメです。

  • 学生の頃、読んだことがありますが、最近、某旧財閥系の新入社員が読むことを薦められる書物になっていると聞いて、再読しました。
    文章が読みずらいことは仕方がなく、また逆に、日本語の美しさと、日本語を用いて概念を説くことの難しさを感じます。
    いくつか項目はありますが、「義」「名誉」などの感覚はなくしてはならず、また、大人が子どもたちに対して、みっともない、恥ずかしいと教えるために、背中で見せる必要があるのでしょう。
    「人は才能ありとても、学問ありとても、節義なければ世に立つことを得ず。」

  • 難しかったけども、自分の思考のルーツを何となく理解出来ました。
    自分はどこの国の人間でもなく、日本人としてきちんと思考しているんだなと思えました。
    桜っていつから日本の象徴の花になったんだろう。

  • 日本の上流階級の道徳規範だった武士道を欧米の知識人に紹介するために書かれた本.明治32年初版.原文は英語.武士道の特殊性をあげるのではなく,世界的に見た時の普遍性を裏付けることに著者の意図はある.そのために古今東西の文献からの引用,または参照がとても多い.(私には必要以上に思われる).

    明治以降も教育の大衆化を道徳面から支えた武士道がどのように変遷したかを述べた最後の2章が私には興味深い.ただしこの2つの章には著者のキリスト教徒としての見方も色濃い.

    私はこの本を「海外に武士道を紹介した本」として以上に評価する気持ちにはなれない.もちろん武士道の凛とした精神からくる清潔な倫理観は気持ちのよいものだけれども,それをもはや「武士道」とよぶ必要はない気がする.あまりにも時代は変わってしまった.

    さて,ここからはこの岩波文庫版について書く.(ちょっと長文).
    多くの方が書かれている通り,この岩波版はとても読みにくい.その一つの理由は上に述べた「古今東西の文献からの引用」のうち,東洋の古いものは古文,漢文の読み下し文で引用されるため,「漢文漢字の素養の一層乏しくなれる現代日本人にとりて難解である(矢内原)」ことであるように思われる.難しい言葉は辞書を引けばすむが「金は羽より重しとは,あに一鉤の金と一輿の羽との謂を謂わんや」の意味は辞書をひいても私にはよくわからない.もしこの翻訳自体を古典として現代に残そうというのであれば,ぜひともこういう箇所には注釈が欲しい.原文を少しのぞいてみると,高度な語彙を駆使するとともに,長い挿入や関係代名詞の多用されたあまり読みやすくない文章なので,それにふさわしい訳文なのかもしれないが,不必要に難解だったり,意味の通じない文章もやはり多いのではないか.例えば,p.158「武士道の日はすでに数えられたように思われる.」原文は the future of Bushido, whose days seem to be already numbered とあって辞書を引くと「数えられた」のではなくて「限られた」のであることがわかる.たぶんこういう箇所がまだ多くあるのではないだろうか.

    結論として,私は「武士道」の内容を知るのに,この訳本を勧めない.

  • PHP新書より訳が難解で最初に読むには適さない。二回目以降のほうがよし

  • 「武士道精神」「もののあはれ」などといった日本独特の精神・感覚尊重している。



    内容すべては賛成できないが一貫した方向性は個人的には非常に好きで、読んでいて気持ちがいい!


    主な主張としては、「論理には限界がある、だめなものはだめ、卑怯を憎め、自由と平等の矛盾、国語が大事」


    ★備忘録★

    ・英語ができれば国際人だというのは間違い、祖国愛(パトリオティズム)と自国の教養を身につけろ。

    ・人を殺してはいけないのは、「ダメだからダメ」ということに尽きる。「以上、終わり」。論理ではない。

    ・「家族愛、郷土愛、祖国愛、人類愛」まずは身近なものから慈しめ。鼻から人類愛を語ってはいけない。

  • 子供の時に親から言われたこと、道徳がこの本の中にあった。
    日本人の宗教は?と言われて言葉につまることがあったが、自分が信じてきたことが書かれたこの本に出会い、日本人としてのアイデンティティに出会えたと感じた。

  • 「サムライ・ニッポン」

    <マイ五ツ星>
    「桜」:★★★★★

    <あらすじ>―表紙より
    「武士道はその表徴たる桜花と同じく、日本の土地に固有の花である」
    ―こう説きおこした新渡戸(1862―1933)は以下、武士道の淵源・特質、民衆への感化を考察し、武士道がいかにして日本の精神的土壌に開花結実したかを説き明かす。「太平洋の懸橋」たらんと志した人にふさわしく、その論議は常に世界的コンテクストの中で展開される。

    <お気に入り>
     敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花 (本居宣長)

     その美の高雅優麗が我が国民の美的感覚に訴うること、他のいかなる花もおよぶところでない。薔薇に対するヨーロッパ人の讃美を、我々は分つことをえない。薔薇は桜の単純さを欠いている。さらにまた、薔薇が甘美の下に刺を隠せること、その生命の執着すること強靭にして、時ならず散らんよりもむしろ枝上に朽つるを選び、あたかも死を嫌い恐るるがごとくであること、その華美なる色彩、濃厚なる香気―すべてこれらは桜と著しく異なる特質である。

    <寸評>
     日本人の良心、道徳のよりどころとなるものは何であるか。
     著者・新渡戸稲造は渡欧中、特定の宗教教育のないことを指摘され、この疑問に対する一つの答えを得た。それが「武士道」である。

     成文法でもなく、口伝すら稀である「武士道」は、不言不文であるだけ、心の肉碑に刻みこまれ、実行によってのみその効力が認められる。

     ふりかえってみると、我々日本人の価値観、美的感覚は、多かれ少なかれ「武士道」に近しいものが多々見受けられる。
     毅然たる態度、相手を敬い自身をへりくだる、敗者への配慮、豪奢華美よりもささやかな美を好む……。いずれも長年にわたって培われた、我が国固有の、そして世界に誇れる国民性だと感じさせられる。

     小生の好きなサッカーの舞台でも、日本国民のサポーターの礼儀正しさ、日本選手の献身的な働きは、世界的に高い評価を受けている。また先ごろのW杯においても、PKを外した駒野選手に対して、あるパラグアイ選手が「君の代わりに次の準々決勝ではゴールを決めてみせる」と言ってくれたことには感動させられた。まさに日本人の美学、武士道にかなう言葉だった。

     消極性、非個性を恥じる傾向のある日本人だが、武士道の誇りをもっているかぎり何ら恥じることはなく、むしろその思慮深さ、周囲への配慮に自信をもっていいのだと、教えられた気がした。

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著者プロフィール

1862年南部藩士の子として生まれる。札幌農学校(現在の北海道大学)に学び、その後、アメリカ、ドイツで農政学等を研究。1899年、アメリカで静養中に本書を執筆。帰国後、第一高等学校校長などを歴任。1920年から26年まで国際連盟事務局次長を務め、国際平和に尽力した。辞任後は貴族院議員などを務め、33年逝去。

「2017年 『1分間武士道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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