国家 上 (岩波文庫 青 601-7)

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  • Amazon.co.jp ・本 (509ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003360170

感想・レビュー・書評

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  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』
    書斎の本棚から百冊(立花隆選)61
    政治学・法学
    社会改造思想の間違いの源泉。

  • 哲学は多様な思考の仕方を鍛錬出来る利点があり、読んでいて面白い。下巻も読む。

  • ソクラテスを語らなければよかった。

  • 評価は下巻を読み終えてから。「プラトニック」の意味がよく分かるが、正直なところ、ここまでストイックだとついていけない。エソテリックささえ感じる。

  • 正義とは何かという問で本書は始まる。

    脚注によると、古代ギリシアでは「友を益し敵を害するのが正しいことだ」という考えが広く正義ととらえられていたようだが、プラトンはそうは思わなかったようだ(p42)。人を害することは不正なことだと言っている(害することによって、相手は正しくなるのではなく、不正になるから)。
    個人にとっての正義を考える上で、より包括的な存在――国家――にとっての正義を考えていく。
    そのために「理想的な国家」を創りだした。
    この「理性的な」というのは、「国の全体ができるだけ幸福になるように」(p261)ということ。
    理想的な国家には4つの性質があるらしい:「知恵」「勇気」「節制」そして「正義」
    勇気は「恐ろしいものとそうでないものについての、正しい、法にかなった考えをあらゆる場面を通じて保持すること」(p289)のことを言う。
    また、自身の中で「すぐれた本性をもつものが劣ったものを制御している場合」(p292)に、そこに節制があるという。
    それで、正義とはそれぞれが自分の生まれ持った才能に合った役目を全うすることだという。自分の分を越えてはならない。

    終盤は難しくて何を言っているのかよくわからなかった。


    ■ 余談
    ・序盤で書かれている、お金持ちになることの効用が興味深かった。「たとえ不本意ながらにせよ誰かを欺いたり嘘を言ったリしないとか、また、神に対してお供えすべきものをしないままで、あるいは人に対して金を借りたままで、びくびくしながらあの世へ去るといったことのないようにすること、このことのために、お金の所有は大いに役立つのである。」(p26;ケパロス)
    ・神に世俗的な振る舞いをさせるような詩は守護者の教育によくないから、そういうものはチェックして世に出ないように書いている(p172のあたり)。国が作るべき/作ってはならない物語のルールを規定すべきだとも書いている(p159)。国家検閲を推奨しているように見える。詩に厳しいのは、プラトンが詩を挫折した過去もあるから?
    ・病気になったからといって、仕事を奪ってでも延命させることは医者のやることではないといっている(p233のあたり)。怪我や病気で役に立たなくなった大工は、諦めてさっさと死ぬべきだという。
    ・男性の壮年期がp370において25歳~55歳となっているが、当時で55歳はまだ元気な部類だったのだろうか
    ・戦争をしても、それは善意を持って正すわけだと主張して、ギリシア人同士で奴隷にしたり、されたりすることは否定しているように思う(p398)

  • 正義とは何かという問で本書は始まる。

    脚注によると、古代ギリシアでは「友を益し敵を害するのが正しいことだ」という考えが広く正義ととらえられていたようだが、プラトンはそうは思わなかったようだ(p42)。人を害することは不正なことだと言っている(害することによって、相手は正しくなるのではなく、不正になるから)。
    個人にとっての正義を考える上で、より包括的な存在――国家――にとっての正義を考えていく。
    そのために「理想的な国家」を創りだした。
    この「理性的な」というのは、「国の全体ができるだけ幸福になるように」(p261)ということ。
    理想的な国家には4つの性質があるらしい:「知恵」「勇気」「節制」そして「正義」
    勇気は「恐ろしいものとそうでないものについての、正しい、法にかなった考えをあらゆる場面を通じて保持すること」(p289)のことを言う。
    また、自身の中で「すぐれた本性をもつものが劣ったものを制御している場合」(p292)に、そこに節制があるという。
    それで、正義とはそれぞれが自分の生まれ持った才能に合った役目を全うすることだという。自分の分を越えてはならない。

    終盤は難しくて何を言っているのかよくわからなかった。


    ■ 余談
    ・序盤で書かれている、お金持ちになることの効用が興味深かった。「たとえ不本意ながらにせよ誰かを欺いたり嘘を言ったリしないとか、また、神に対してお供えすべきものをしないままで、あるいは人に対して金を借りたままで、びくびくしながらあの世へ去るといったことのないようにすること、このことのために、お金の所有は大いに役立つのである。」(p26;ケパロス)
    ・神に世俗的な振る舞いをさせるような詩は守護者の教育によくないから、そういうものはチェックして世に出ないように書いている(p172のあたり)。国が作るべき/作ってはならない物語のルールを規定すべきだとも書いている(p159)。国家検閲を推奨しているように見える。詩に厳しいのは、プラトンが詩を挫折した過去もあるから?
    ・病気になったからといって、仕事を奪ってでも延命させることは医者のやることではないといっている(p233のあたり)。怪我や病気で役に立たなくなった大工は、諦めてさっさと死ぬべきだという。
    ・男性の壮年期がp370において25歳〜55歳となっているが、当時で55歳はまだ元気な部類だったのだろうか
    ・戦争をしても、それは善意を持って正すわけだと主張して、ギリシア人同士で奴隷にしたり、されたりすることは否定しているように思う(p398)

  • 紀元前に書かれた世界最古の正義論。対話篇ということもあって読みやすく、議論も一つ一つ丁寧に進んでいくので話の流れにも迷わない。とはいえ、その論理と主張には首を傾げたくなく場合も多々あるのだが、途中でふと気がついた。この国家を読んでて感じる違和感って、西洋文化そのものに対する違和感と同類のものなんだよね。矛盾を矛盾として受け入れ、言葉にできない経験を重視する東洋思想の源流が老子から来ているのなら、矛盾を言葉と論理で徹底的に解消し、個人より社会を重視する西洋思想の原点がこの国家なんだと考えれば腑に落ちる。

  •  プラトンの『国家』、共産主義思想の原点であるとか、ナチズム的全体主義を正当化するために利用されたとか非常に悪名高いテキストなのだが、実際に読んでみると、なるほどと首肯する発言が多々あった。
     理想の国家、理想の王国は現実では不可能であることが、壮大な歴史的実験によって証明された。とはいえ、なぜ国家があるのか。国家のあるべき姿とは何か、その使命とは、という方向性については決して間違っていないと思う。ユートピア工学ではなく、ピースミール工学によってよりましな国家というものを創っていくしかないのだ。

  • 2009年度【請求記号】131.3||P||上【資料ID】91091739
    【配架場所】工大君に薦める

  • プラトンほどロジカルで嫌なやつはいないと思う

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著者プロフィール

山口大学教授
1961年 大阪府生まれ
1991年 京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学
2010年 山口大学講師、助教授を経て現職

主な著訳書
『イリソスのほとり──藤澤令夫先生献呈論文集』(共著、世界思想社)
マーク・L・マックフェラン『ソクラテスの宗教』(共訳、法政大学出版局)
アルビノス他『プラトン哲学入門』(共訳、京都大学学術出版会)

「2018年 『パイドロス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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