- Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004201755
感想・レビュー・書評
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2 一つの国家、一つの国語という「常識」[近藤健一郎先生] 1
【ブックガイドのコメント】
「国家と結びついた国家語の成立とともに生じる諸問題を世界各地の実例に即して論じる。」
(『ともに生きるための教育学へのレッスン40』182ページ)
【北大ではここにあります(北海道大学蔵書目録へのリンク先)】
https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2000087826詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大学のゼミで使用した作品。
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いいね
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情熱的社会言語学入門書。概して入門書といえば基本事項をわかりやすく満遍なく抑えたものというイメージがあり、またそのようなものが求められがちだ。本書では時折、感情的な意見が客観性を欠いたかのように映る。しかし読み進めていけば言語の本質を真剣に追求した人間の息遣いに他ならないことに気づく。社会言語学のエッセンスもしっかり抑えられる。
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一 「一つのことば」とは何か
二 母語の発見
三 俗語が文法を所有する
四 フランス革命と言語
五 母語から国家語へ
六 国語愛と外来語
七 純粋言語と雑種言語
八 国家をこえるイディッシュ語
九 ピジン語・クレオール語の挑戦 -
社会言語学というのか、とても面白くて理解が浅いながらもサクサクっと読んでしまった。古い本だけどおれ的には中身は古くない。
母語と母国語の違い、アルザスの最後の授業の話、ラテン語が「たえず変化することによって、新しい歴史的状況に適応していおうとすることばの性質に反して、文法とは、真の意味におけることばでないことばをつくる作業」により書き言葉として固定され死んでしまったこと、各地における方言に対する抑圧、イディッシュ語やピジン、クレオール語の成り立ちなどなど、興味深いテーマがぎっしり。 -
社会言語学者の著者が、言葉と国家をめぐる複雑な問題を分かりやすく解説している本です。
言葉はダイナミックな政治の文脈に置かれており、そのことに早くから気づいていた言葉の研究者たちは、国家や民族といった言語外的な要因を慎重に取り除いていくことに注意を払ってきたと著者は言います。そして、まさにこのことが、微細な権力構造が言葉に投げかけている影についての精妙な眼差しを社会言語学が獲得することを可能にしたと言ってよいでしょう。本書で取り上げられている諸問題は、そうした言葉と政治の絡み合いを垣間見せてくれます。 -
20年以上前に書かれた言語の国家政策に関する名著。文章が非常に分かりやすく、説得力に富んでいる。
現代にも非常に重要な示唆を与えてくれる。言語がいかに政治と分かちがたいものか。
(2015.9) -
母語と母国語の違いは何か,こういうことを考えたことがあるだろうか.また,通じて「正しいことば」とは何か,ということも考える.方言や俗語もれっきとした「ことば」なのである.
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いやー、読み応えがあった。そして難しかった。もしかすると半分もわかってないかもしれない。
でも、思考することの根っこの根っこであることばを改めて考えるきっかけになって、そこで得たものは大きいと思う。特に話し言葉と書き言葉の関係はとても興味深かった。
個人的に、日本語、英語、イタリア語がぐるぐるしている時期だったこともあり、いいタイミングに読めたなあと思います。
最後に、『ことばは近ければ近いほど差別感が生じ、遠ざかれば別の言語になりうる。』という一文がとても印象に残っており、ことばに限らず色々な面でこういうことあるよなと考えてしまいました。