- Amazon.co.jp ・本 (193ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004310020
感想・レビュー・書評
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憲法改正を論ずる前にまずこの本を読んだ方がいい
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長谷部恭男『憲法とは何か』岩波新書 読了。多様な価値観の存在を認め、「私」の領域では個々の自由を保障。共通の利益を追求する「公」の領域では、国家の権力を憲法により制約、と立憲主義の理念を確認。その上で、憲法改正論に反駁していく。様々な思想家の思想が散りばめられ、文献解題が有意義。
2011/04/14 -
【由来】
・新書365
・「多数決を疑う」の読書案内で。この人、テレビで最近よく見る人だ。
【期待したもの】
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※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。
【要約】
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【ノート】
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いわゆる、日本国憲法の解説書ではない。憲法は何のためにあるのか。
戦争は相手の憲法を変えるため。 -
立憲主義の発想について解説するとともに、そうした観点から現在の憲法をめぐるさまざまな問題について、著者自身の立場から明快に議論を展開している本です。
立憲主義そのものについては、おなじく新書で刊行されている『憲法と平和を問いなおす』(ちくま新書)のほうが、理論的および歴史的な側面からていねいに論じられているように感じました。本書でも立憲主義そのものの説明は手際よくまとめられていますが、むしろ立憲主義という発想をじっさいに使いこなすためのさまざまな視座が示されているように思います。
また、現在の憲法改正をめぐる議論には、改憲派・護憲派双方に、憲法の改正そのものが日本社会に革命的な変化をもたらすかのような理解が見られますが、著者はそうした議論が過熱する状況から距離をとり、憲法が置かれている具体的状況のなかで憲法の果たしている役割を冷静に見ようとしています。 -
岩波新書愛好会】#感想歌 憲法を創ると守ると改訂の力関係根源は何 民主主義だけではなくて人類の幸せ確保模索方法
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配置場所:摂枚新書
請求記号:323.14||H
資料ID:95060021 -
【目次】
はしがき(二〇〇六年二月 Y.H.) [i-iv]
目次 [v-ix]
題辞 [x]
第1章 立憲主義の成立 001
アトランタでの問い/サンチャゴでの問い
1 ドン・キホーテとハムレット 004
多元的な世界/ハムレットの「良心」
2 立憲主義の成立 008
比較不能な価値の対立/政治プロセスの適正化
3 日本の伝統と公私の区分 012
日本社会の公と私
4 本性への回帰願望? 014
「分かりやすい世界」へ?
5 憲法改正論議を考える 017なぜ厳格か
特定の価値観の導入?/新しい人権・責務/九条改正論/
6 「国を守る責務」について 022
守るべき国とは何か/憲法秩序と国土・暮らし/テロの時代と平和主義
文献解題 026
第2章 冷戦の終結とリベラル・デモクラシーの勝利 035
1 国家の構成原理としての憲法 036
憲法をめぐる争い
2 ルソーの戦争状態論 038
ルソーのホッブズ批判/戦争の即時解決の道
3 三種の国民国家 040
国家像の変貌/三者の闘い
4 シュミットと議会制民主主義 043
シュミットの議会制批判/敵対関係と国家間関係/治者と被治者の自同性/ファシズムと共産主義
5 原爆の投下と核の均衡 048
原爆投下の正当化理論/「究極の緊急事態」/バビットの批判/冷戦の終結
6 立憲主義と冷戦後の世界 054
リベラルな議会制の特長/冷戦終結の意味とは
7 日本の現況と課題 057
東アジアの対立構造/憲法典の変更を言う前に
文献解題 061
第3章 立憲主義と民主主義 067
1 立憲主義とは何か 068
二つの立憲主義/近代以前と近代以後/立憲的意味の憲法/九条解釈と立憲主義
2 民主主義とは何か 072
「多数者の支配」への嫌悪/議会制とシュミットの批判/ケルゼンの議会制擁護/ハーバーマスと討議の空間/マディソンと大きな共和制/アメリカの民主制
3 民主主義になぜ憲法が必要か 081
プレコミットメントとは
文献解題 082
第4章 新しい権力分立? 087
1 ブルース・アッカーマン教授の来訪 088
1-1 モンテスキューの古典的な権力分立論 089
権力分立の眼目/影響力
1-2 「新しい権力分立」 097
三つの政治体制/何が望ましいか/三権以外の機関の独立
2 首相公選論について 097
議院内閣制との相性/小選挙区制との相性/純粋の大統領制は?/半大統領制は?
3 日本はどこまで「制約された議会内閣制」といえるか 106
「最悪の体制」/日本の議院内閣制/官僚機構の「中立性」/行政・司法への制約について/内閣法制局という存在
4 二元的民主政――「新権力分立論」の背景 112
一元的民主政と二元的民主政/国の根本原理と憲法/憲法政治と通常政治
文献解題 117
第5章 憲法典の変化と憲法の変化 125
1 「憲法改正は必要か」という質問 126
質問の不思議
2 国民の意識と憲法改正 128
憲法典改正なしの根本変更/フランスの事例
3 実務慣行としての憲法 132
法と道徳/一次レベルから二次レベルへ/二次レベルのルールと専門家集団/三次レベルのルールへ
4 憲法とそれ以外の法 139
法の回復への欲求か/憲法と憲法典
文献解題 142
第6章 憲法改正の手続 147
1 改憲の発議要件を緩和することの意味 147
1-1 なぜ多数決なのか――その1 150
多数者の幸福/なぜ特別多数決か
1-2 なぜ多数決なのか――その2 153
コンドルセの定理/なぜ特別多数決か
2 憲法改正国民投票について 156
あるべき国民投票制度/熟議機関の設定/公正な討議の機会/個別の論点ごとの投票
文献解題 165
終章 国境はなぜあるのか 169
1 国境はなぜあるのか――功利主義的回答 171
統治の実効性/人権の実効的保障
2 国境はなぜあるのか――「政治的なるもの」 174
カントとホッブズ/シュミットの人間と国家/生の意味をかけた闘い
3 国境はいかに引かれるべきか 181
通常正当化テーゼ/手段としての国家・国境
4 境界線へのこだわり 185
国境の恣意性と相対性/境界線の自己目的化
文献解題 187