中国という世界: 人・風土・近代 (岩波新書 新赤版 1174)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004311744

作品紹介・あらすじ

国土は広く、人も多く、古い歴史の中国。「チュウゴク」とは何か、そしてこれからどこへ行くのだろうか。「一つの世界」を形成する独特の風土に生きてきた人びとの人間観・家族観をさぐり、さらに近代を象徴する都市・上海と上海女性の気質を描きだす。新たなる中国論の誕生。図版多数。

感想・レビュー・書評

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  • 2018/03/30 17:45:00

  • 本書は2009年出版。中国生まれの中国研究家による、中国の風俗・文化論。中国は歓楽に向かっている、というのが著者の見立て。その意味するところは、政治や国体はどうあれ、庶民は日々楽しみを求めてしたたかに生きている、といったことのようだ。

  • 雑多な感じがするけど、中国をあぶり出してくれる。逆に言えば中国は、こういうふうにあらゆる角度から見ないと見えて来ないのだろう。

  • 「中国という世界」という本の書評
     「チュウゴクとは何か」という質問を受けたら、中国人だとしても答えが難しいだろう、日本人の作者である竹内実が「中国という世界」という本の序論に以下のように答えてくれた。「まずは人が多い、そして、国が広い、また、歴史が古い」。
     以上は竹内実さんの問いに対する答えだが、答えとしては短すぎという気がする。なぜかというと、答えたとしても、答えは問いとなり、さらなる答えが求められるからだ。では、「中国という世界」という本の中で、作者はこの質問の答えを詳しく探求していると感じた。考えれば、確かに中国は日本より10倍以上もの人口を持っているが、人口が多いとすれば、また、人とは何かという質問が出てくる。人はばらばらでない、大家族制(宗族)があり、家族もあった。これらをまとめて作者が本の第一部(Ⅰ 人)で答えた。この部分を読んだ後、自分にも納得した気が強かった。例えば、生活の中で使いこなされている「人」、「从」、「众」という三つの漢字について、その字の形と意味の関連性を高校時代、習いこなした古文から作者が説明してくれた。その説明を読んだ後、私は思わず「なるほど」と感嘆せざるを得なかった。
     続いて、人が住む世界を見わたし、その変遷を振りかえった。そして歴史の重点は北から南へ移っていた。これらを第二部(Ⅱ 風土)とした。また、風土には歴史が組み込まれるから、本の第三部(Ⅲ 近代化)で歴史を振り返った。すると、南として上海が浮上した。その租界では女性が近代化の先端にあったが、近代としては挫折と再出発があった。私にとって、この部分は一番興味を持つところだ。前には、租界といえば、主権が奪われたエリアしか思わなかったが、本を読んだら、租界になったことで、上海が西洋の文化をたくさん受け入れることができ、すばやく国際大都市として成長できたのだと考えるようになった。
     そして、結びとして、冒頭の質問に対する結論を記した(終章)。また、「中国はどこへ行くのか」という質問を作者が立てた。作者の意見は一応述べられたが、肝心なのは、読者それぞれが自分で答えをこれから探そう。

  • 1930年代にはドイツから脱出したユダヤ人が上海疎開に収容したが、太平洋戦争勃発後はユダヤ人を強制的に立ち退かせた。
    上海のダンスホールはフィリピン人の楽団が多かった。彼らはアメリカのジャズの新しい傾向をいち早く取り入れていた。

  • 巨大な中国。注目される中国。

    中国はどこへ向かうか?
    東洋のパリ「上海」についてページを割いて収録。

    減点は読みにくさから。

  •  上海視察を控え、中国そして上海の歴史のお勉強のために一読。おそらく通常の中国史の中では異端扱いされてきたであろう上海の歴史に、本編の半分が割かれているのが特徴。(それゆえ本書を手に取ったのですが。)

     人、風土、歴史という背景から、まずは中国を読み解いていくのですが、この辺りは教科書的でやや退屈。でも上海編に入ると、租界当時のヨーロッパ文化と融合した映画産業や、ダンスホールなどのカルチャー、当時としては画期的な「女性」の活躍等がこと細かく描写されていきます。

     最終的な結論として、中国がこれから向かうであろう先を「歓楽」とまとめることで、ここまでそれを先導してきたであろう上海にここまで比重を置いてきた意味がようやく判明。北京五輪以降の動向までを含めて、「中国」に関する最新の定番テキストになりそうな予感のする名著ではないか、との読後感を得ております。斜め読みした教科書的な部分も、もう一度おさらいしなくちゃ。

    2009.12

  • 中国の入門書。ダイナミックなのは、中国は「快楽」へ向かう、という著者の主張。間違いなく、今後大きく変わっている大国、中国を見つめる著者の目は面白い。

    特に私は近代の上海に関する記述の部分が、面白かった。

  • あまり自分にはあっていない著書です。
    単調に小分けされていたので読み辛かったです。

  • 肩の凝らないエッセイではありますが、どういう目的で書かれたのか、何を意図して書いたのかつかめませんでした。前著『コオロギと革命の中国』もそうでしたが、なにか思いつくままに書きつらねただけという感がしました。

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