大学とは何か (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
3.70
  • (22)
  • (47)
  • (38)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 746
感想 : 69
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313182

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 岩波書店でこのタイトル。
    しかも著者は教育学者ではない。
    興味津々で読んだ。

    目次だけ見ると「大学の歴史を振り返るのか」と思われたが、「メディアとしての大学」の視点があるため、これまで知らなかった大学像が立体的に浮かびあがってくる。

    ・キリスト教は、日本の大学システムの形成期と転換期の二度にわたり、ペリー提督やマッカーサー元帥以上に大きな役割を果たした (P186)

    ・(国立大の法人化について) 財務構造にすでに劇的な変化が生じているのに比べ、組織運営のあり方があまり変化していないように見える最大の理由は事務組織や職員の意識と能力が新しい体制に追いついていない点にある (P231)

    ・現在の状況に有効に介入しうるような新しい大学概念を、歴史と未来の中間地点に立って再定義していく (P239)

    ・ グーグルやアップル、フェイスブックといった新たなネット上の知識システムに対し、大学という相対的に古い知識形成の場が何を固有にできるのかを明らかにせざるを得ない時が来ている (P249)

    など、多くの箇所を備忘録に留めた。

  • 限られた紙幅のなかで大学の起源と変遷の歴史がコンパクトに概観された上で、深い洞察と重たい問題提起がなされている。「未来に向けて命がけの跳躍をしなければならない」(p239)との言葉には痺れた。大学関係者必読の書。

  • 読み途中の本が多すぎる……今年中にきちんと読み終えたい……

  • 読むのに時間がかかりましたが大変勉強になる一冊でした。
    大学4年である今更になって、もっと早くこの本に出会いたかったと思います。(もっとも、出版自体今年ですが)

    なぜ大学に来たのか、なぜ今いる大学を選んだのか、なぜ今いる学部を選んだのか。
    そもそも、なぜ大学はあるのか、大学とは何なのか。
    そういったことを考えさせられます。
    大学生必読の書だと思います。

  • 大学の起源とか意義の整理になって良いけど中世ごろの大学の成り立ちのくだりが長い。

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。
    通常の配架場所は、開架図書(1階) 請求記号:377//Y91

  • 本書は2つの読み手によって異なる印象を持つだろう。高等教育の入門の段階で読む場合は、「より抜いたポイントの集約」かなと。多少高等教育をかじってから読む場合は、「いつまで先行研究のレビューまで続くのか、と思っていたら終章になってしまった」と思うかもしれない。

    新書1冊に日本大学史を総覧した価値はある。参考文献リストも学習者に役立つ。ただ、筆者の考える新しい主張が終章の一部くらしか見当たらないのは、少し寂しい。教育学を専攻としない情報学環の先生だからこそ、このような本が書けたのかとも思う。2時間で日本の大学の誕生から今日までをかけ抜けることができる意味は大きい。

    印刷技術の発展に伴う書物の爆発的な出版、インターネットによる知の洪水という各メディアが大学に与えた影響に触れられている。メディア論としての大学論を今後期待したい。

  • 中世ヨーロッパでの大学の誕生から、近年の日本の大学の話まで、わかりやすくまとまっていて、読みやすかったです。

  • 研究とも関連して興味あるテーマなので面白く読んだ。
    ヨーロッパにおける大学の成り立ち(1章)から国民国家と大学の再生(2章)、舞台を日本にうつして帝国における大学(3章)、戦後日本の大学改革(4章)という今までの、最後の章では「それでも、大学が必要だ」とのタイトルで今後の大学のあり方に関する提言が書かれている。

    今後の日本に置ける大学の形を考える時、既存の大学概念の中で中世の都市ネットワークを基盤にしたポスト中世的大学モデルが参考になるのではないかと提言している。その理由として、1、世界で多数の大学が国境を越えて都市間で密接に結びついていること、2、高等教育のアメリカ化の中で
    学術言語としての英語の世界化がおきており、北東アジアなどの近隣諸国の学生と知的交流をすすめるのにも英語でのコミュニケーション能力が必須であり、それを単純な英語支配と捉えず共通言語以上の可能性を持ったものとして認識することが重要であること、3、今後人類が取り組むべき課題はすでに国民国家の枠組みを越えており、ナショナルな認識の地平を超えて地球史的視座から人類的課題に取り組む専門人材を社会に提供することが大学に求められていること、などを挙げている。(pp.240-243)

    面白いのだが、取り立てて目新しいものではない。
    それよりも、未来の完全なインターネット社会で大学が生き残ることができるのか、との懸念をぶっこんでたことには、その懸念は理解できるもの、もう少し大学がキャンパスをもち、人と人との直接的な交流が生まれることの意義を聞きたかったなあと思う。最近のキャンパスの国際化や、地域連携などの点についても触れてほしかった。そして、すべての大学教員がマイケル・サンデルのような「白熱」議論ができるわけじゃない、という部分には素直に笑ってしまった。

  • 正直ポイントが見えない。

全69件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

吉見 俊哉(よしみ・しゅんや):1957年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。同大学副学長、大学総合教育研究センター長などを歴任。社会学、都市論、メディア論などを主な専門としつつ、日本におけるカルチュラル・スタディーズの発展で中心的な役割を果たす。著書に『都市のドラマトゥルギー』(河出文庫)、『大学とは何か』(岩波新書)、『知的創造の条件』(筑摩選書)、『五輪と戦後』(河出書房新社)、『東京裏返し』(集英社新書)、『東京復興ならず』(中公新書)ほか多数。

「2023年 『敗者としての東京』 で使われていた紹介文から引用しています。」

吉見俊哉の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×