(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314301

感想・レビュー・書評

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  • 貧困大国アメリカ第三部

    将来は1%の富裕層と99%の貧困層の戦いになります。いまのうちに団結しておかないと不味いことになりますよ。という趣旨の本

  • 著者は堤実果氏。米国野村證券他を経てジャーナリスト。貧困大国アメリカシリーズは有名らしい。

    感想。
    面白い。私はアメリカといえば自由の国•アメリカンドリーム、という良い印象だけを持っていた。
    自由というのは、ルールか守られている範囲では、利権を守り拡大するのも自由であり、それに抗えないのも自由(自己責任)。自由=正義ではない。
    アグリビジネスのケースとか、教育格差•経済格差•貧富格差につけ込み、その格差を更に拡げることで自らの利得を拡大させており、恐怖感すら感じた。
    まずは、強い個である必要があると思った。

    備忘録
    •多国籍企業を頂点とするピラミッド構造。多国籍企業及びその株主が、政治とメディアを味方につけ、生産効率と利益拡大を求める構図。
    •ショック•ドクトリン。アグリビジネスではイラク、アルゼンチン、パナマとかの例。その他カトリーナ後の公共サービス民営化とか。
    •コーポラティズム。政治と企業の癒着主義。

  • 1月3日の「波風立男氏の生活と意見」で書いたので略。

  • グローバリゼーション、自由経済、規制緩和。これらを推し進めるのは良いことといった風潮(もしくはなんとなくのイメージ)があるが、なんとなくそう思わされている人が多いのが実情のように思える。
    耳に心地よい単語ではあるが、本当にそれらの意味するものを真剣に考える必要があると思う。
    これは、この本に限った話ではないが、その一助になると思われる。

  • ↓貸出状況確認はこちら↓
    https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00196912

  • 経済はほとんど世界の国がグローバリゼーションの波にのまれていく時勢である。この事象はいいことなのだろうか?
    この本を読むとこのような世界の構造を作っているのは1%の富裕層であるという。アメリカは1%の富裕層と99%の貧困層に分かれ、以前のように中流階級という層はなくなってしまっているという。
    食、教育、行政、言論等本来経済本意だけで動かすべきではないものさえ、アメリカは今経済至上主義で運営していこうとしているという。その実態を読むと空恐ろしい。特に食に関することはまるでSF小説のようでぞっとした。
    アメリカの現状を書いてはいるが、読み進んでいくとこれは日本でも同じようなことが起こっていると実感する。日本は既にリトルアメリカであると感じた。今後アメリカと同じように、日本もさらに経済の寡占化が進んでいくのだろうか?グローバリゼーションというと「地球はひとつ」というイメージがあるが、そのようにいいことずくめではないことがわかる。

  • 大企業の支配に対抗する手段はないのか。地域を主体に助け合う経済を構築しないといけない。

  • リーマンショック以降、さらに所得格差が悪化したアメリカ。
    2008年にその様子をレポートした第1弾から数えて、3冊目にして完結編。

    TPP交渉妥結にむかい、おそらく、日本も本書で紹介されたような状態に進んでいくだろうと思われる。TPPや遺伝子組み換え問題など、詳しく勉強したり、ウォッチしてる人にはもう周知のことばかりだろう。

    原発の問題と一緒で、絶望的な気分にさせられる。
    富める1% vs. その他99%の構造、しかも政府の顔は1%に向いているとなれば、勝ち目はない・・・とあきらめたくもなる

    本当にそれでいいのか?自分たちの暮らしを売渡してしまっていいの?
    本書でも最後に、アメリカ国内で、小さな市民の力を集めて企業や政治を動かす運動が始まっているということが紹介されている。
    電話かけ、ちらしまき、不買呼びかけ、ネットを使って企業献金を受け取らない議員への支援金を募るなど。丁寧に話して賛同者を増やす。
    地道過ぎるが、それくらいしか手立てもない。マスコミはあてにはならない。企業には、モラルで訴えるよりは、買わない、取引しないという直接的な行動しかない。ならば市民一人一人に直接訴えかけるしかない、というわけだ。

    私も、今はそれしかないかなぁと思う。ネットでこうして拡散するのは伝わるようで実はそんなに伝わってはいない。広く関心のある人には届くけど。
    無関心の人には届かないので、直接、知らなかった人に伝えるという活動が大切なんだろうと思う。

  • 大変に不快になる。本が悪いのではない。書かれているシステムがあまりにも不快なのである。現代の農奴といえるような人たちを作り出す大規模畜産。遺伝子組み換え食品をオーガニックに見せて売るメーカー。リーマン・ショックで宙に浮いたカネを食糧に投機した連中。
    モンサント保護法に対して「法律は一度通してしまうと取り返しがつかない」
    巨大なシステムが小さな共同体を壊し、あとには何ももたらさない、という様子が、さまざまな分野で描かれている。政治もマスコミも、経済の対象である。
    では絶望あるのみか。否。「企業はモラルより損得で動かせ」と。これでは損をする、という状況を消費者(って言葉もあわないが)が作り出した実例が紹介され、そしてオキュパイ運動中のアノニマスの言葉で締めくくられる。「あきらめて流れに身を任せたら負けだ」「こっちもITという武器を使って、どんどん連携すればいい」「教えてやろうぜ、グローバリゼーションは彼らだけのものじゃないってことを」

  • 新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、1階文庫本コーナー 請求記号:302.53//Ts94

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著者プロフィール

堤 未果(つつみ・みか)/国際ジャーナリスト。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒業。ニューヨーク市立大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券を経て現職。米国の政治、経済、医療、福祉、教育、エネルギー、農政など、徹底した現場取材と公文書分析による調査報道を続ける。

「2021年 『格差の自動化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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