(株)貧困大国アメリカ (岩波新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004314301

感想・レビュー・書評

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  • 貧困大国アメリカの第三部。これで完結らしい。
    今回のメインテーマは大規模化される農業。GM種子と特許、SANP法。そしてイラン、アフガン戦争。。相変わらず筆者の取材力と分析力が冴えて、読んでて荒廃した気持ちになります。

    自由民主主義、資本主義のアメリカのバランスが資本主義、それも巨大資本にかなり寄ってきており、議会もマスコミも巨大資本に包摂されつつある、、アメリカはその世界最先端でもっともグロテスクにそれが現れてしまっているのだが、日本にも多かれ少なかれその要素はあるのでは!?

    とにかく、この3部作は、毎回楽しみでした。
    筆者の方、本当にありがとうございます!

  • 今回は1%と99%の対立を描く
    企業の利益優先の社会
    個人は収奪されるのみ

    農業では大規模設備投資をさせられ
    借金漬けで生産コスト低減を迫られる
    生産者同士で競わせる仕組みも

    自治体でも財政立て直しのために
    教育予算カットや学校閉校

    影響力はテレビが絶大

    大統領候補者の討論番組は双方の約束事ばかり。
    企業に買われた政治家の主張に大差なし
    ALECが法案の模範文章を議員に持ち帰らせる

    2 SNAP、元フードスタンプ。嗜好品は買えない
    4 8大低賃金サービス。
    ウェイター・ウェイトレス、レジ係、小売店店員
    メイド、運転手、調理人、用務員、介護士

    9 貧困層の子供、肥満・糖尿病
    10 小売の24%支配、ウォルマート
    35 工場式養鶏場

    42 成長促進剤を鶏に。病気や死亡率28%
    45 囚人労働者は大人気
    80 牛に注射すると牛乳3倍

    143 インド、人口の0.1%がGDPの25%所有
    151 ハイチへの農業支援でGM種子
    159 食・GM作物・薬

    173 チャータースクール(営利学校)
    178 危機管理人

    200 サンディ・スプリングス、民間経営自治体。警察と消防以外は自前。
    アトランタ周辺の富裕層に人気。
    税金を低所得者層の福祉などに取られない

    208 正当防衛法
    251 ボケ老人が国の金を食いつぶす
    262 預金移動日

  • 基本的に民営化には賛成していたが、この本を読んでから民営化をすれば必ずよくなるというわけでもないんだなと思った。結局金持ってる企業がマスコミや政治家を味方につけて、国民としてはよくない方向に農業が進んだり、まったくその状況を知らせていなくて、ほんとおそろしいなと思う。「道徳なき経済は犯罪である」という言葉があるが、まさにこの本に書かれている内容なんだと思う。
    かと言って国が全面的に保護したり、運営するやり方もそれはそれであまりよいとは思えないのだが。。。
    とりあえずアメリカ産の農作物食べたくない(笑)
    TPPが恐くなってきた(笑)
    この作者はすごくちゃんと調査しているのがわかる。
    この本読んでたら、少し陰謀論者の気持ちがわかった気がする(笑)

  • 急速な民営化により崩壊しつつあるアメリカの医療・農業・酪農・公共サービスについて詳細にレポートしている本。著者である堤氏の取材力がハンパなく凄い。医・薬・農・酪にまたがる21世紀版の巨大コングロマリットが、アメリカのみならず、多くの中小国家を呑み込もうとしている様子には薄ら寒いものを感じた。それに、財政健全化のために公共サービスをカットした結果、刑務所を維持できなくなり、自由の身になった投獄者の楽園と化したデトロイト市とか、公立学校が閉鎖され、教育を受けられるのはプライベートスクールに通える富裕層だけ、とか、もはや「自由と正義の国・アメリカ」は地に落ちたとしか思えない。もちろん、本書はネガティブな側面しか書いていない面もあるけれど、過度の競争原理の行き着く先がこれだとすると、日本としても、過度のアメリカ追従は考え直さないといけないかな。(55年体制のころの日米関係は、対米追従と見せかけて、うまいこと面従腹背でやっていたという気が、最近している)

  • なかなか面白かった。

    オーガニックスーパーのホールフーズを悪役としてとりあげていたが、
    ちょうど、並行して「経営の未来 イノベーションをマネジメントせよ」を読んでいて、そこでは、経営イノベータの成功者としてとりあげていた。
    どちらが正しい、といったものでもないのだろうけど、どちらに共感するかで、1%側か99%側かが分かるかんじか。

    書いてあることが本当なら、恐ろしいこと。

  • アメリカ(だけではない)の1%の企業・株主。普通に暮らす99%。格差は見えない(表に出てこない)中で確実に進んでいる。そのことを、具体的な例も豊富に挙げて訴えられています。少々過激に書かれていると思いますので、そのまま鵜呑みにするのではなく、しっかりと自分の言葉で考えていく必要のあることです。過激に書く必要のある切迫した状態ではあると思います。
    努力すれば報われる。それはそういう世の中に自分たちでしていかなければなりません。勝手に世の中はそうなりません(儲けようとする人が儲かる仕組みに熱心に取り組んでいる限りは)。最後のエピローグで、世の中を変える運動がいくつか挙げられています。その動き、しっかりと目を向けていく必要があるのだと感じました。

  • よく知ってる企業も出てました

  • 政府とマスコミが企業に買われ、一般人が知らない間に企業に有利なように法律が変えられてゆく。しかも表面的にはわからないように…政治に無関心であることの恐ろしさを思い知りました。一方、この本の内容をすべて鵜呑みにはできません。そうでなければ、本の中で紹介されているような情報操作されている人々の二の舞ですから。

  • これは日本が目指している社会の姿なんじゃないのか。ディストピア。

  • 何を食べればいいのか分からなくなる、ある意味ホラー。TPPの行方がますます不安になる。

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著者プロフィール

堤 未果(つつみ・みか)/国際ジャーナリスト。ニューヨーク州立大学国際関係論学科卒業。ニューヨーク市立大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券を経て現職。米国の政治、経済、医療、福祉、教育、エネルギー、農政など、徹底した現場取材と公文書分析による調査報道を続ける。

「2021年 『格差の自動化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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