ガソリン生活

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (413ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022510624

感想・レビュー・書評

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  • 猫の次は車ですね。
    ミステリとしては物足りないと思うけど素直に温かい気持ちになれる小説だった。
    車が会話などするシーンでは、やはり同様に車がキャラクター化しているディズニーの『カーズ』のような描写を脳内でイメージしながら読みました。しかし読む前は車にこんなに感情移入するとは思わなかった。これは『カーズ』観たときも思った。車だし無機物だし、それがこんなに愛しく感じるようになるなんて不思議。エピローグでは思わず込み上げるものがあった。車種を聞いただけではその車体を思い浮かべられない、車にほとんど興味がない私が読んでも愉快で楽しい話だったので、車好きな人はもっと楽しめるのかも。
    勿論人間側の望月家の面々もとても魅力的。特に望月家の末っ子、小学生の亨が素晴らしい。『マリアビートル』の王子とは違う方向に老成した子どもだけど、どこか子どもらしいところを残していてかわいらしいキャラクターだった。
    『オー!ファーザー』の由紀夫の家族と『検問』のネタが登場してた。自分が気付いたのはそれだけだったけど他にもあったかな?やっぱりこういうファンサービスみたいなの嬉しいなあ。

  • いやいやまずまず面白かった。

    主人公は望月家の面々と望月家の愛車、緑のデミオ。

    夏目漱石の名著「吾輩は猫である」と同じくデミオに意志があり、デミオ目線で望月家と彼らが巻き込まれる事件を語っていく。

    クルマ大好き・伊坂幸太郎大好きな私にはとてもベストマッチ。

    途中「クルマが何言うか」と笑う場面もあれば、「もしかしたらうちのVWゴルフも同じように考えてるのでは」と不安になったり、妙に感情移入してしまうのが我がことながらおかしかった。

    以前の作品も途中登場したりと伊坂ファンには楽しい場面もあり。

    やっぱりクルマもペットと同じく家族の一員だな、とクルマ好きの私は思った次第でした。



    伊坂節健在で、飄々とした描写の中に何故か吸い込まれてしまう。

    やっぱり好きだな、伊坂幸太郎。

  • もしも あたしがお金持ちだったら
    緑のデミオを衝動買いしてる。
    そんな本。

    でも
    実際にはそんなお金も(免許すらも)ないので
    せめて会社で
    黒い猫ちゃんの送り状を丁寧に書いてしまったり。

     ■ ■ ■ ■ ■ 

    しっかし その廃パチンコ店、そろそろどうにかしたが良いよ…。

  • 夢中になって引き込まれるような迫力はなかったが、ほんのりほのぼの、心がゆったりするような作品だった。なにしろ緑デミがかわいい。
    そして、出色なのはやはり亨だろう。彼の醒めた精神は実に素晴らしい。いじめに対する態度もこんなふうでいられたら、なんとかやり過ごせるんじゃないかと思わせてくれる。作者の伊坂さんもそれを伝えたかったんじゃないかと思ってしまった。
    すっとぼけぶりがさらに磨きをかけられていて、文中のあちこちでくすくす笑ってしまう。例によって、本当はけっこう陰惨で無残な出来事なのにうまい具合にベールがかけられていて、生々しさは薄れている。飄々としたやり方で、上手にかわしていこうよ、といわれているような気がする。

  • 面白かった。魅力的なプロット、登場人物。
    会社の近くで緑のデミオを見かけた時、
    『おおーー、緑デミ』と声をかけしまった。

    でも、物足りない。

    もうこれは好みの話になると思うんだけど、
    僕は一直線なふっとい芯がある話が好きだ。
    なんかわかんないけど(向かっている方向がある)
    みたいな。どんどんフォーカスが合っていく感じ。
    本作はそれが感じない。
    盛り上がるとかそういうことじゃなくって。

    だから面白いのに、ページをめくる手が止まらないって
    ほどじゃない。なんでかなと考える。

    きっと全員が(主役感)が薄いからだと思う。
    緑デミは、結局語り部だし、望月家のみんなも
    緑デミの視点から見ているから、やっぱり読み手と距離がある。

    まぁ、楽しめる小説にはなってるし、
    何より緑のデミオが欲しくなった。

  • デミオが語り手のお話。
    車目線だから、表現も慣用句も車仕様。
    これがまた、じわじわくる面白さでした。
    「開いたバンパーがふさがらない」とかね。

    伊坂FANなら気づく、過去の作品の登場人物も登場。
    これは伊坂作品ならいつものことですが。


    女優の事故死の真相とは?
    ダイアナ妃死亡時のうわさ話と絡めて、デミオの所有者である望月家が真相を暴いていくミステリー。
    人間には言葉が通じない車だからこそ、もどかしい場面も多数…笑
    なんとなく車の気持ちがわかった気がして、
    これからは愛車を大切に扱おうと誓ったのでした。

    肩に力が入らず、リラックスして読めるミステリーって珍しいね。

  • 面白かった~。

    ちょっと頼りない兄「良夫」と、しっかりしすぎが玉に瑕な弟「亨」の凸凹兄弟と望月家の愛車「デミオ」を中心に、ザッパや細見氏、郁子、そしてやさいトリオ。
    今作も伊坂さんらしい登場人物たちが最高でした。

    特に語り手となるデミオがなんとも秀逸。
    自転車とは会話が成立しないところだったり、車のパーツを人間の身体に見立てたりするセンスは素晴らしく、
    「少年よ、もっとエンジンを噴かして生きてもいいのだよ」などと言った発言に終始ニヤニヤ。

    そして伊坂さんと言えば、結末の爽快感ですが
    きっと作者本人が一番、望月家や登場人物たちを愛してるんだろうなあと思わずにいられない展開にきゅんきゅん。

    オー!ファーザーの由紀夫ファミリーがちょろっと出てくる、おまけ感といい、やっぱり伊坂さん…だいすきです!

  • 車が主な語り手で、もどかしくもあるが面白い目線で新鮮だった。
    車たちの中で語り継がれる話やことわざだったり、タイヤが4個以上の車と電車は話せるがタイヤが2個の自転車とは言語が違ったり。
    この車達の会話を人間に伝えられたらすぐに事件解決できるのに!
    頭の切れる大人びた10歳の享の機転と推理も素晴らしかった。

    私も車目線で過ごしてみよう。

  • 車側からしたら自転車の言葉は理解できないという設定が面白かった。この本を読んでから自分の車をもっと大切に乗っていこう思った。エピローグの話が微笑ましかった。

  • 緑色のデミオが主人公な、ちょっと変わったストーリー。江戸川コナンのように頭のキレる小学生や、有名人の翠さん、週刊誌記者などなど多彩な登場人物が全員イキイキしていて全員好きになる。
    最後までホント楽しく読めました。
    ただ、個人的にはこの本がきっかけで知ったフランクザッパの曲はなんだかよく理解できなかったのが、残念。

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著者プロフィール

1971年千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。2000年『オーデュボンの祈り』で、「新潮ミステリー倶楽部賞」を受賞し、デビューする。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』で、「吉川英治文学新人賞」、短編『死神の精度』で、「日本推理作家協会賞」短編部門を受賞。08年『ゴールデンスランバー』で、「本屋大賞」「山本周五郎賞」のW受賞を果たす。その他著書に、『グラスホッパー』『マリアビートル』『AX アックス』『重力ピエロ』『フーガはユーガ』『クジラアタマの王様』『逆ソクラテス』『ペッパーズ・ゴースト』『777 トリプルセブン』等がある。

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