ヤモリ、カエル、シジミチョウ

著者 :
  • 朝日新聞出版
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本棚登録 : 908
感想 : 120
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022512291

感想・レビュー・書評

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  • 大人になった拓人も見てみたいような、でも拓人の世界が成人になっても有り続けて欲しかった。だから最後の大人になって姉にカエル食べたかを尋ねたところで終わるのは一気に現実に引き戻されて余韻に浸れなかった。拓人からたくさんのキレイな音が脳に溢れ出、鮮やかな色が散りばめられ大人たちの世界とは別の言葉のない自由な世界に招待され濃密な時間を拓人とイクミと一緒に過ごせた有意義な時間でした。ラストがショックだったけど。

  • 再読。

    初めて読んだ時は拓人のひらがなの箇所に閉口したけど、慣れたからか今回は独特な世界観を楽しめた気がした。

    それにしてもラスト、全然覚えてなかった。ビックリした。

    さ、次は去年の雪を読む。

    江國さんにどっぷり浸かる幸せを噛み締める。

  •  1人1人の人間模様を上手く描いている。人生ってそううまく行かないよなぁと感じる作品。一見日常のようで、その中のスリルや落とし穴を描いていると思った。明るい気持ちにはなれないが、なぜか落ち着いて読める。人物設定が絶妙に私とは違うので、誰かに感情移入しない。それでも、読みやすいのはやはり作者の文章力のなせる技かな。
     でも、最後がスッキリしないので、中々人にすすめる本にはならないかも。

  • 不思議な話やった。
    拓人の語りが平仮名から漢字を含む表現にする事で成長を描くのがすごいなぁと思ったけど。
    全部の話がぶつぶつ途切れて私にはあんまりわからなかった。
    ほんっまに不思議な話やった。

  • 久しぶりに大好きな江國香織さんの本を読み、その世界観に浸れた。
    たくとのパートがラストの当たり漢字が混じりたくとの成長とともに時が動いていくのを感じた。
    変わらない日常と、刻まれる時によって変わる何かが混ざりあっていて、心がキューっとした。
    内容は違えど誰もが経験したこと。
    たくとの成長が寂しくて、でも嬉しくて、母になってから読めてよかったなという1冊。
    浮気すら美しく感じてしまう江國さんの本が大好き。


  • 拓人の文章が平仮名で読みづらく、長かった。しかし最後の方に漢字も混ざった時に、もうあの能力は失われてしまったのだと感じた。最後葉っぱとは話せたが、児島さんとは話せなかったのはなぜだろう。子供の成長でしょうか。
    江國さんの話には浮気男がよく出てくる。身近にいたのだろうか。魅力的ではあるが、とても残酷だった。

  • ヤモリもイモリも分からない。トカゲは分かる
    カエルは、カエル
    シジミチョウもモンシロチョウもアゲハチョウも分からない
    でも、たくちゃんと一緒にいたら少し分かった気がして
    庭に来たチョウチョが何か言いかしないか凝視した。
    でも、ひらひら飛ぶだけ
    でも、たくちゃんのおかげで少し分かった気がした。
    でも、たくちゃんも徐々に言葉が分からなくなっていく
    庭にじっとしゃがみ込むたくちゃん
    そして、賢いかしこいいくみちゃん
    素晴らしいことばの世界がひろがる!

  • 虫や少しの人と心の声で会話ができる5歳の拓人と
    その母の奈緒がメインに話が進む。

    拓人が語り手のときはすべてひらがなで
    書かれているけれど、その内容は子どもが
    書いたもの、ということではないので
    拓人から見た周囲の雰囲気を出すために
    ひらがなにしたんだろうか?

    奈緒の夫は外に彼女がいて(浮気ではない)
    あまり家には帰ってこない。
    そのあたりはいつもの江國さんが書く
    ストーリーと変わりはない。

    子どもたちの世界がとても面白かった。
    江國さんは子どもを書くのがとても上手いと思う。
    その反面、大人は江國さんの型にはまった
    登場人物ばかりになってしまっている気がする。

  • 静かな物語だ。これといった結末はない。作者に突き放された感じだ。平仮名と片仮名のみの章は漢字と仮名の絶妙な使い方の”江國らしさ”が感じられない。もちろんこれは読みにくい。例によって不倫が出てくる。詩のような小説とでもいうものかもしれない。

  • やもりんという響きがかわいい。
    拓人は友達ができて、社会化した途端、今まで普通にできていたことができなくなるんだな。
    大人からみると安心する変化だと思いますが、拓人と同じ目線でストーリーを追ってみた身としては残念さも感じました。
    人を傷つけることに無責任な人たちが出てきます。
    世間の常識から外れてても、でも軽やかに生きてる。

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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