ミッドナイト・コール (朝日文庫 う 5-1)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.56
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本棚登録 : 145
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022640109

作品紹介・あらすじ

性暴力とジェンダー、非婚と専業主婦願望、世代体験と恋愛病、かさばらない男と愛しすぎる女…。「これまで口にしたことないことを、これまで書いたことのない文体で書いてみよう」-軽やかなフットワークで時代を挑発しつづける著者が、とその周辺について初めて語る、真夜中の私信。

感想・レビュー・書評

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  • 2021 11/18

  • この人のエッセイ好き

  • 確か大学生の頃、読んだと思います。
    エッセイは、その人のことが少し分かります。
    楽しいエッセイでした。

    また近く読み直したいです。

    2013年8月 再読
    やっぱり、面白かった(笑)
    目の付け所が普通の人とは違う感じ(笑)

  • 上野千鶴子のエッセイ集。
    多彩な顔を持っていることに驚く一冊。

    なんとなく人間離れした感じを抱いてしまう著者だが、実は同じ感覚をもっている(まぁ、あたりまえだが)んだなーと親近感もわく。その中にキラッと光る鋭さがあるのもまたいい。

    (まっちー)

  • 目の前の用には立ちそうもない私語を学ぶというとてつもないぜいたくに、目前の必要に追われてその日暮らしをしていたわたしは青ざめた。

  • わかりやすい文章で書かれたエッセイ。男と女は社会的に作られるものなのだということがよくわかる。
    男は男の、女は女の世界で生き、お互いに交流を持つこともなく別々の世界で成長し大人にならざるを得ない社会が垣間見える。
    そこに隔たりがあることにさえ気付かない人、何の疑問も感じない人たちがいるということも事実だろうと思う。

  • 上野千鶴子御代の私信。
    読みやすかったし、たくさんうなずけた。
    「自分は」どう生きたいか。
    社会で女性は未だにマイノリティだと感じます先生。

  • 上野先生の「私」が知れておもしろかった。迎合??、カメレオンのようにスタイルを変えておられるのがある種の才能なのでしょう。学者であって、芸術家ではないということがよくわかるエッセイ集でした。

  • 「これまで口にしたことがないことを、これまで書いたことのない文体で」彼女の気持ちが綴られている。そこには飾らない等身大の人間がいる。その時に応じて必要とされている自分を演出する、私もそうやって生きている。一部を見てその人間がわかるわけではないのだ。

  • 「夢よりも現実の方がよっぽど豊かだ」
    上野千鶴子が今まで語らなかった私について語ったエッセイ。一流の学者であることは単にガリ勉の秀才であるわけではないことが分かる。情熱、あるいは生きる力がなければ勉強なんてできない。

    上野千鶴子の研究は現実を変容させようとするイデオロギーがかったものである。だから、彼女の思想に与することができるか否かで彼女に傾斜するか、離反するかが別れる。

    私自身、彼女の思想には賛成できない。ただ、人とかモノとか社会の見方に非常に憧れる。「怖い」「強い」「排他的」という上野女史の見方が「かわいい」に変わった本。

    こんな文章を書けるだけの厚みのある人間になりたい。

  • ____________
     わたしの目の前にある本は、不要不急の書物だ。話題の著者でもなければ注目の本でもない。もしかしたら、日本人の中では、わたししか読まないかもしれない書物だ。わたしは午後のけだるい風に身をまかせながら、書物に目を走らせる。カーテンがゆらぎ、一陣の微風が頁の上を走る。わたしのほかにはだれもいない。
     まったく、何という至福だったろう。わたしは自分が目先の役にはまったく立たないことをしているというぜいたくな喜びで満たされていた。自分が研究者になったのはこのためだったと思えるほどの喜びだった。   (p.49)
    _________________________

    ・・・・・・・研究者になりてぇ

  • 気になる。

  • 2009/02/04読了
    この著者はこんな文章も書けるのだなあ

  • 上野千鶴子のミッドナイト・コールを読みました。上野千鶴子が朝日新聞に連載したエッセイ集でした。上野千鶴子といえばフェミニズムの難しい本が多いので、攻撃的な論戦を好む人なのかな、と思っていました。ところが、このエッセイを読んでみると、とても頭はいいということはあるにしても、ごく普通の女の人なんだなあ、と感じられました。「私は親に愛されて育った。親が私にくれた得がたい贈り物と思っている。」という文章を読むと、私はちゃんとそういう風に子供たちに思われるように育てることができただろうか、と思ってしまいます。古い価値観で女性が抑圧されていた時代から、現代のように女性が解放された時代になりました。ところが、新しい価値観が確立しないまま、古い価値観が壊されてしまいました。男性も女性も自分のエゴを主張するばかりで、それに対応する責任を引き受けない風潮になっている、と苦い思いが書かれていました。このエッセイが書かれたのが20年前ですが、そこから20年で日本の状況はどう変わったんでしょうか。

  • 「考えたことは売りますが、感じたことは売りません」と断言していた上野が自らルールを破り書いた本作。上野のことがますます好きになってしまう。なんて人間らしい人なんだろう。鋭い刃物のような彼女の言葉がまるで幻だったかのような優しさにあふれた本なのだ。そう感じる私は、既に上野が敷いた罠にはまってしまっているだけかもしれない。でも、それでいいと私は思う。私が1番好きなのは「愛しすぎる女」だ。最後の上野の言葉は私の心に突き刺さり、固まった氷を溶かしてくれる。「だいじょうぶよ。ありのままで愛してくれる人がきっと現れるわ」なんて悲しい言葉だろう。この言葉が上野から発せられれば、言葉の悲哀はますます満ちていくのだ。私は言葉によって、上野に抱きしめられているような感覚に襲われる。上野という人を考えたとき、私は言葉や論理の崇高さと共に、優しさを忘れない彼女の姿を思い浮かべるのだ。「生きている他人が自分を抱きとめてくれる可能性にすっかり絶望した人たちは、人間でないものに抱きとめてもらおうと、宗教に向かうこともあるのだろうか」と本書で上野は問う。私は上野が紡ぎ出す言葉へと今、向かっている。

  • ジェンダー研究で著名な上野千鶴子さんのエッセイ。1990年の物。「夜中の電話」というタイトルにあるように呟くような淡々とした語り口。読むのも寝る前が良さそう?

  • ひとりぐらしを始めたばかりでさみしい気持ちだったときに読みました。
    自分の毎日に身近なものとして読めます。

  • この本自体は社会学者である筆者が色々なテーマで書いた短い話(朝日新聞掲載)を集めたものなんですが、それはそれで面白いです。さすが、『時代を挑発し続ける』と形容される人だけのことはある文章を書かれていると思うのですが、その中で『食縁家族』というテーマの話があります。
    ここで、吉本ばななの『キッチン』の話が出てくるのでとても興味を惹かれたのですが、皆さんこの話をご存知でしょうか。


    吉本ばななは、みなしごになった娘がつくる、血のつながらない擬似家族の実験を描く。その家族をつなぎとめるのは「共に食べる」という行為だ。ベッドではなく、台所が、その家族の核心にある。
    だから、主人公たちは、実によく食べる。


    吉本ばなな作品、とくにこの『キッチン』『満月 キッチン2』『ムーンライトシャドウ』にはとても美味しそうな食事のシーンがよく登場します。『食べる』ことはセックスのメタファーだと、今日のこの本にも記述がありますが、実際に吉本ばななの作品の書評でよく、この解釈を当てはめた話をよく読みます。
    それで、「ベッド」ではなく「食卓」でつながるこの家族は「血縁」ではなく「食縁」があるというのです。

    この話のオチはまた別のところにあるのですが、なんか納得したというかなんと言うか。元々好きな話なんですが、新たな何かを発見した感じがすごくしました。まぁ、非血縁がすべて擬似とは思いませんけど。

    (2003年2月6日)

  • 強く優しい上野先生は
    私の憧れのひと。
    普段カチカチに理論武装している先生の本音がわかる

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著者プロフィール

上野千鶴子(うえの・ちづこ)東京大学名誉教授、WAN理事長。社会学。

「2021年 『学問の自由が危ない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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