- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022643599
感想・レビュー・書評
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偶然に起こしてしまった殺人。だけど偶然と思うのは自分だけ。周りがみんな敵に思える。でも、味方になってくれる人も沢山いる。殺人は、重い罪で主人公の葛藤や周りの目が気になる気持ちが非常に上手く表されていると思う。人は、1人では生きていけないのだと考えさせられる小説だった。
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ちょっとキツかった…
犯罪犯したら、こうなりそう、って。
彼の言い訳、よくわかる。相手も悪い。
けど、殺してしまった。
彼にすりゃ、失われる数年。
被害者家族にすりゃ、たった数年…
などなど…
堂々巡り、自問自答…キツいっす。 -
自分を試す小説だった。
「実際に殺人者と出会ったなら、自分は相手にどういう態度で接するのだろうか?」と。
刑務所から戻ってきた人間にとっては、世界は偏見と悪意に満ちているのだろう。
人を殺めた廉で少年院に送致され、6年の刑期を務めて社会復帰した青年が主人公。
「自分だけが悪いんじゃない」と「謝罪したい」という心の葛藤の渦の中、ぐいぐいと彼に共感を覚えてしまう。
綿密な取材の成果が伺われる。
加害者、被害者、傍観者たちの心の動きが丁寧に描かれていく。
彼らの社会復帰の道は限りなく険しいものだが、自分は応援できるだろうか。 -
この人の文体はやっぱかっこいいわ。男臭くて。いい意味で汗の匂いがする。
そのせいで粗暴な犯罪者であるはずの主人公もなんかかっこ良く見えてしまう。笑
冷静に見れば短絡的で大人に成りきれてないんだけど、確かに。
でもその主人公の人格設定の絶妙なバランスがこの小説のリアル感を一段階引き上げてると思う。
読者を感情移入させる程度には善良・真面目で、犯した罪との整合性を持たせる程度に単純・粗暴。
このあたりのさじ加減が主人公の葛藤に説得力を与えている。根が真面目じゃなきゃ葛藤しないし、あまりにいい人過ぎたら主人公がいくら自分を責めても「あの時は何かの拍子で頭のねじが狂ってました」で読者視点では片付いちゃうし。 -
真保さんの本はいつでもディテールに裏打ちされた骨の太さを感じるが、珍しくディテールよりも心象で迫る一冊。
被害者側、加害者側、事件の切口はいろいろあるが、今回は視点を少しずつ変えながら、
あたかも覆いを一枚一枚ぬぐうように、事件が広がっていく様を描いている。
池に放った小石が同心円の輪を描くように、静かに主人公の回りの人物に光があたる。
あるものはおびえ、あるものは利用しようとし、あるものは真摯に手をさしのべようとする。
犯罪を非難するのはたやすいし、罪は償いようがないのかもしれない。
しかし、償えなくとも贖罪を試みないことは罪かもしれない。
単純に白黒がつけられない、重さ。
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2006/09
犯罪加害者・加害者家族・被害者家族・まわりの人たち。考えさせられた。「奇跡の人」と似ていたけど結末は違って、明るさが見えて、よかった。 -
この男は人殺しです―。仮釈放となった中道隆太を待ち受けていた悪意に満ちた中傷ビラ。いったい誰が何の目的でこんな仕打ちをするのか?
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んー人生って一番難しい問題だな。永久に答えが出ない問題かもしれない。
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人一人の命の重さ。残された家族はもちろん、加害者、とその家族、周りの人間がその事実をどう受け止めるか?なかなか考えさせられる。同じような作品は別の人も書いているだろうが、保護司なんて地味な職業にも注目してるとこが真保さんらしいし、いい味を出してる。