平成猿蟹合戦図 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版
3.50
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本棚登録 : 834
感想 : 85
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  • Amazon.co.jp ・本 (544ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784022647382

感想・レビュー・書評

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  • 前半が全く面白くなくて「お願いして、借りた本なのに面白くないな~(汗)」と思っていましたが、ちゃんと面白くなってよかった(ホッ)

  • 珍しく読むのに時間がかかってしまった。
    面白い。面白いのだけど、第二幕までが長い。冗長?あえて言う。面白いのだけど。
    練り込まれた設定と人物達ではあるのだけど、もっとサクサクとしてた方がぐんと引き込まれる。

    幾人もが絡み合って一本に繋がる。そんな吉田修一作品がとても好き。
    本作は間違いなくその型。でも、良かった!と言い切れない何かがある。
    動き出してからはとても面白いのに。そこまでが長い。やっぱり冗長?

    純平には一票入れます。

  • ちょっとした出来事がどんどん大きくなる。脅迫してたかと思ってたら、妻がタレント化、そして出馬と。しかし物事ってこんな風に磁石みたいに色んな人を引き寄せてどんどん大きくなっていくんだなと、妙なリアリティがある。それは吉田修一作品すべてに共通している。自分は美大出身なので、バイトで参加する身代わりの娘の同行が気になったが、微妙に揺れる心情を描くまでにとどまっている。
    途中から完全に当選までの話になってしまったが、バイオリニストや身代わりはそのままどうなったのか等が気になった。下巻を出してもいいんじゃないかな。設定も面白いし。
    ドラマ化される為の小説ってくらい、キャラクターが立っていて各ストーリーも映像的。

  • 予想外の展開で面白かった。読み始めはまさか国会議員になる人とその周囲の物語やとはまったく思わなかった! 最初はしょうもなさそうな人やなーと思ってた登場人物も根はいい人で、主要な登場人物に嫌な人が出てこないのが好きでした。

  • まさに平成の猿蟹合戦というべきであろうか。
    横道世之介テイストの吉田修一の得意なパターンであろう。
    悪人や怒りで描く人間の本質を突き詰める吉田修一作品も
    勿論魅力的であり、大好きではあるが、
    こういった作風もまた彼の魅力であり、惹き付ける要因であろう。

    新宿のバーテンの若者がふと目撃してしまう轢き逃げ事件。
    それが、あれよこれよと複雑に入り組んで行き、
    想像を超える展開へと発展していく。
    次々と登場して来る人物がどこかで誰かと繋がっていて、
    最終的には点が線となりしっかりと絡まる。
    簡単なようで難しい構成であると、改めて関心する。
    まさか、呑気な水商売の人間たちがここまで巻き起こすとは。

    そして、何よりも救われるのは誰一人として嫌な人間がいない。
    物語を紡ぐ上で、これはなかなか難しいことである。
    勿論、倒すべき相手というか悪役というのはいるにはいるのだが
    こういった群像劇で物語の鍵を握る人間たちが多い中では
    なかなか難しい構成だ。それを難なくやってのける力に感服。
    期待は無限大に膨らんでいく。物語のような物語だ。

  • 久しぶりにタイトルの本意が終盤まで分からない小説を読んだ。ちょっとウルっとしたのは、自分の根っこが蟹なんであって、猿になれないせいなのだろうな、と思う。ハラハラさせられるけど、どこかコミカルで、誰も不幸にならない話。よい物語でした。

  • 視点が次々に切り替わるので、一瞬頭が混乱しますね。
    一人一人味があるので、もっと詳しく読ませて欲しいような、この切り替えが面白味に繋がってるのか。
    重たい部分もこの切り替えであっさりした感じ。
    最後にはみんなにやって笑える結末で後味はいいのかな。

  • おもしろい!その一言は出るものの、登場人物とストーリーが盛り込まれすぎて頭で整理していかないと追いつかない。また、標準語と長崎弁と東北弁が入り乱れていて、言葉によって読み進めるスピードが大きく変化した。ドラマでは是非見て見たい。

  • まさにタイトル通り、『平成猿蟹合戦図』!
    かなりご都合主義な所はあるけれど。。。
    テイストとしては『横道世之介』に似ているので、そちらでハマった方には良いと思う。

    ちなみに私は、濁った世界を描いている吉田修一が好きですね。。。

    読みながら、この作品は確かに映像化した方がそれらしくて面白いのかもしれないと思った。
    登場人物が多すぎるわけではないのに、同時多発的に視点が切り替わっていくので、文章を追いながら混乱してしまう。
    颯太と、瑛太は、文字としても分かりにくいー。

    純平が軸になるのか、美月が軸になるのか、ラストに美月がもっと噛んできて欲しかった。
    純平の氷川きよしで、サワばあちゃんを夢心地にさせたシーンは好き。ばあちゃん強し!

    秋田弁に魅力を感じた人は、次に越谷オサム『いとみち』を読むと良い。

  • 途中まで読んで、誰が蟹で誰が猿かが解ります。タイトルが先かストーリーが先か気になります。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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