ペコロスの母の玉手箱

著者 :
  • 朝日新聞出版
4.11
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本棚登録 : 342
感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784023313286

作品紹介・あらすじ

長崎を舞台に、認知症で施設に暮らす91歳の母の「今」と「昔」を、
64歳の息子がどこまでも優しく切なく漫画で描く。
ベストセラー『ペコロスの母に会いに行く』の作者の第2弾。週刊朝日で好評連載中。

感想・レビュー・書評

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  • 当然の事ではあるが
    「親がボケちゃって…。」
    なんて話に幸せ要素なんかいっこもない。

    この世にはまだ特効薬も無く、
    ただ静かに(どうか症状が進まぬように…)
    と、祈るだけの恐ろしい認知症。
    そんな家族の心労を救ってくれる施設も本も世の中にはたくさんあるが、
    その中で出会えたら、
    (きっと何かが変わる)と、思えるのがこの本だ。

    著者ペコロスさんの母、みつえさんは
    認知症を患い、施設でお世話にはなっていたが、
    息子さんの温かい目を通して描かれた彼女は
    ボケ老人でも、
    孤独な老人でもなく、
    ただの
    <この世にいてくれるだけで、嬉しい大好きな人。>
    以外の何者でも無かった。

    残念ながら
    この本の執筆中にお母さんはお亡くなりになったそうだが、
    ペコロスさんが不思議な玉手箱を作ってくれたお陰で
    誰もが年老いてゆく未来にも
    「なんも心配せんともよかとよ。」
    みつえさんの優しい声が残された。

    本当にありがとう。

  • ラストの、想い出が パラシュート のシーンに感動した。

  • まさに玉手箱。この状況をユーモアでくるみながら描いたペコロスさんはすごいなぁ。
    周りの人たちもすごくいい。特にゆりさんには和ませられてしまいます。実際には関わる方々大変でしょうけれど、ペコロスさんの描き方に愛を感じますね。
    それにしてもハゲ雨って…(笑)衝撃の絵面でした。

    時には涙を拭いながら描かれたのではないでしょうか。読んでいる方もわかっていながら滂陀の涙です。
    さゆりさんの「もっと触っておけばよかった」にはもう、号泣です。
    私の両親がそれぞれ亡くなって初めて対面した時のことを思い出しました。

    ケン坊とちえちゃんの話も悲しい。
    みつえさんはあちらに帰られましたが、出来ることなら玉手箱の中をもう少し見せていただきたい気持ちでいっぱいです。

  • シリーズ第2弾。認知症で91歳の母がゆっくりとほどけていくさまを、64歳の息子が優しく描きます。

  • 読んでいると涙が心に染み入ってくるように感じた。
    過去と現在、現実とファンタジーが交差している。
    みつえさんの認知症の進行、体力の衰えと、胃ろうの話……
    現実はしんどいはずが、マイルドなって読んでいると切なさがこみ上げてくる。悲壮感から涙をさそうものではない。

    前作『ペコロスの母に会いに行く』から生まれたであろう交流も垣間見れる。
    ゆっくりと死に近づきながらまるで赤子に戻るような、みつえさんの姿の描写。それは次の世代への移行なのか、来世なのか――
    死についての描写は、ホームからの連絡と面会、その後が淡々と描かれる。生も死も、老いも若きも共にある。

    みつえさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。

  • 〜日常の尊さを感じる〜

    ママ専門コーチのゆうきです。

    ▷ママがワクワクする本紹介→ https://www.instagram.com/bookmamaaaa/
    ▷ラジオ版→https://www.instagram.com/kosodatenomikata

    いつもご覧いただきありがとうございます♪

    ーー内容ーー
    長崎の施設で暮らす認知症の母と息子の優しく切ない漫画。週刊朝日の連載で人気となり映画化された。ベストセラー『ペコロスの母に会いにいく』の第二弾。

    ーー感想ーー
    認知症で施設にいるお母さんの中には玉手箱があって、その中に迷い込んでいるようなひと時がある。ということから本書のタイトルになった。

    お母さんが息子を「ハゲ」「コブタ」と呼ぶ自虐ネタもさることながら、本書全体から伝わってくる、お母さんを包み込む優しさが魅力で、読者の涙を誘う。

    お母さんの幼少期〜子育て期〜現在と、時を行き来して語られるエピソードは、人生は短くあっという間であり、何気ない日常の豊潤さを教えてくれる。

    認知症になってからも、ふとクリアに記憶がよみがえる時があるという。それが息子にとっては豊潤なひと時に感じられ、未だに母親から贈り物をもらっているようだ、と。

    その贈り物は、

    ・保育園への道すがら虫採りをしたこと
    ・おつかい頼んだけどなかなか帰ってこなくてやきもきしたこと
    ・6歳になってもオネショして恥ずかしそうに小声で打ち明けてくれたこと

    かもしれない。

    その意味で私たちは、贈り物の「種」を育てているとも言える。

    子育てママにとっては当たり前の日常は、長い目で見ると見方が変わる。そんなことに気づかせてくれる一冊。ぜひ読みやすいので手に取ってみてください。

    あなたの贈り物の「種」は何ですか?

    ーー

    最後まで読んでいただきありがとうございます

  • 絵がほっこり。あったかさと可愛さと‥
    介護ってきっとものすごく大変なものだけど、こんなにユーモアあふれて、可愛くて愛おしく描けるのってすごく愛に溢れていて読んでよかったです!

    星4.8!!

  • ふむふむ

  • 前作の方が好きです

  • 「8月24日、母は車椅子から自由になった」。一ヶ月弱悩んだ末、(嚥下能力の低下による誤嚥性肺炎防止の)胃ろう造設を決断し一年半…だんだんに発語が皆無になっていった。対面して「施設に入った頃は『おー待っとったぞ』…『さあ帰ろうか父ちゃん(すでに亡い)も待ってる』」会話もあった、切なく思い出したり/給料をまともに持って帰らないことが度重なり、給料日には迎えに行くようになった「美味か魚と良か酒用意してますけん」…仕事のストレスから大酒。酒の上での父の失敗の尻拭いは数え切れない。年始回りで息子を連れていても飲む…

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著者プロフィール

漫画家、シンガーソングライター。1950年長崎市生まれ。高校卒業後に上京、出版社に勤務。40歳で長崎にUターンし、息子と老いた両親と同居を始める。
父さとるさん亡き後、「ぼけ」が始まった母みつえさんとの日々を、長崎のタウン誌に描き始める。自費出版した漫画が話題を集め、 2012年に『ペコロスの母に会いに行く』(西日本新聞社)を刊行。第42回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞し、25万部超のベストセラーとなった。
同名でドラマ化(NHK-BS)され、2013年秋に映画化される。映画は2013年の第87回キネマ旬報ベスト・テンで、日本映画ベスト・ワンを獲得。『みつえばあちゃんとボク』(西日本新聞社)のほか、『ペコロスの母の玉手箱』『ペコロスのいつか母ちゃんにありがとう 介護げなげな話』など著書多数。
2019年にKADOKAWAから文庫化され、同年5月からNBCテレビ(長崎放送)でアニメが放送開始予定。

「2019年 『続・ペコロスの母に会いに行く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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