神の守り人<帰還編> (偕成社ワンダーランド(29))

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  • 偕成社
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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784035402909

感想・レビュー・書評

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  • おそろしい神タルマハヤを宿す運命を負った少女に、かつての幼い自分を重ねて、なんとかアスラを救おうとするバルサ。しかし、バルサの思いだけではどうにもできないほど、運命の歯車は国を巻き込んで回り始める・・・・。
    この下巻を読んで、上巻の「来訪編」で感じた違和感、恐ろしさが何か、わかった気がした。
    母親が殺人を「正義」と教える、人を殺せと娘に願う、その昏さが、今までの<守り人>シリーズにはないもので、恐ろしさの源なんじゃないだろうか。
    子供に人殺しを薦めてしまうほどの狂信。
    神、宗教という存在が、はじめてこの世界の中でぞっとするほど冷たいものに感じられた。
    ラストは物悲しく、切ない。

  • ふむふむ。一方の神が他方にとっては恐ろしい化け物になる、善政を行うために巨大な力を必要とする。そういった矛盾や葛藤を持ってる人々が絡むことで深みがある。
    バルサやタンダのいいか悪いかは抜きにした助けたいという気持ちが伝わる。

  • もし、あなたに悪事を働く人や動物を殺傷出来る能力を持っていたら、どうしますか?
    もし、その力を使わなかったら、あなたの愛する人たちや、善良な人々が苦しませられたり、目の前で殺されたりするのだとしたら、どうしますか?
    このむずかしい問いかけに、用心棒のバルサが身を持って答えます。

    人には、心でわかっていても、実際のところ、どうなのよってことってありますよね。
    ”例え神だとしても、人を屠って平気な神など神ではない・・”
    ”いくら稼業とは言え、人を殺める時のあの感じ、手ごたえは一生忘れられない・・”
    読んでて、あれ?って気がついた・・
    バルサってジャック(24の)に似てる??
    だからこんなにバルサに惹かれるのかしら・・・
    やたらめったら強い・・時に非道に、なのに涙もろくって・・
    でも、バルサの方が本能的に哲学者的なのだけどね〜

    これは今まで読んできたどのシリーズより、問いかけられるテーマが心に残りました。
    いやぁ〜こんなにはまっているシリーズも久しぶりだ!
    どうしてこんなにはまってしまったのか、自分でも不思議です・・
    驚くほど、ピタァ〜っと来ちゃったんだよね・・
    どの巻を読んでもハズレなし!
    こないだたまたま本屋さんに天と地の・・が3巻あったので購入、ネットで買った虚空の旅人も発送準備完了のメールが来たし、これで全巻コンプリート♪
    残り5巻・・
    早く読みたいのに、読み終わるのが寂しい・・
    まずは虚空の旅人が届くのを待って、残り5巻、行くぞぉ〜!
    このシリーズは、親子で読んでもいいね。
    映画化も封切りは未定だけど決まったようだし・・
    バルサは天海祐希がいいなぁ〜
    他にも配役、私なりに決めているんだけどね(^_-)☆

  • 自分の中に、強大な力を持つ「神」が宿り、自分の感情に呼応して一瞬で人を殺せる、おまけに自分の感情は傷つかないとしたら、正義の味方として自信満々で生きていけるだろうか。ハリウッド映画のスーパーヒーローのようには、普通なれないと思う。バルサが信頼されるのは、人を傷つけた時、自分も傷ついているからだろう。

  • 怪我をしたバルサがタンダに寄りかかるところが素敵。ホントこの二人は夫婦より夫婦らしい。決まりに縛られるのじゃなく気持ちの深いところで想いあってるから続くのかしら。最後はちょっと不満だけど全てを許すわけはないってことですかね。逆にそれが魂の休憩なのかも…

  • <来訪編><帰還編>は、いわゆる前編後編となっています
    女用心棒バルサが、思わず助けてしまった少女アスラは、ロタ王国建国にまつわる恐ろしき神タルハマヤ来訪にかかわっていた。
    バルサは、自分の幼少期とアスラの境遇を重ね、信念から追っ手からアスラを守り続ける。
    話は、二転も三転もし思わぬ方向へ展開していきます。
    今回はロタ王国が舞台となっていて、肥えた土地の南、痩せた寒さの厳しい北の内部紛争寸前の状況や、ロタ国民から影の民として虐げられてきたタルの民。
    現実の地球上に実際に存在しえる設定には説得力がありました。
    それぞれの立場でそれぞれの思いがあり、単純に善だ、悪だと振り分けられません。
    ロタ王国の行く末をまた読みたいです。

  • 今までの中で、一番壮絶で切ない話だ。この結末は、以降への伏線と考えてよいのかなぁ?この陣容でもう一波乱あるんだろうか?

  • 切なくて胸が苦しくなりながら読み終わりました。
    エンディングも切ない。
    ひんやりとした優しさって言うと変だろうか。

  • ラストがすごく壮大。
    アスラとチキサの二人がすごく切なくて、優しくて。兄妹っていいなぁと思います。
      ―――其れは神と呼ぶにはあまりに穢れ、怪物と呼ぶにはあまりに気高かった。…其の名は“タルハマヤ”。

  • こんな神様を信じていいんですか?


  • 通称『守り人シリーズ』4の下巻。二度と悲劇を起こしてはいけないと言う、その想いが掟になった。真実を知りたくないから、相手を悪と貶め自分を正当化する……。そして、国を自分のモノにしようとする者達が神を呼ぶ。……テーマ、重いです。

  • <守り人シリーズ>4巻その2。正直、やっと終わったか・・・感が否めなかったので星3つで。話はちょっと間延びかなー、とも思ったけれど、テーマの壮大さは一読の価値ありです。

  • バルサとタンダが何気にラブラブで、どうしようかと思った。

  • 女用心棒バルサの最新刊。バルサ、かっこよかったです。しかし今回は強敵でした。すべてをゲームの駒のように動かす女策謀家シハナ。個人的には、嫌いではないです。彼女には彼女の確たる信念があるから。ただ目的のために個人の尊厳をふみつぶすやり方が、やりすぎだな、と思います。非保護者のアスラが、人形から、自分で考える人間へと変化するさまが良かったです。

  • 2006.01. 「精霊の守人」のチャグムの時のように、バルサはアスラを守って逃げる。こんなに精神的にも肉体的にも強い女性がいるだろうか。年齢も若いとは言えない。けれど、困難に立ち向かう強さは、そこいらの男どもに負けないバルサは本当に格好いい!

  • <来訪編>の続編。ギリギリまで最後が予想できないのは「精霊の守り人」から衰えていません。人の心の奥底にそっと語りかけてくる作品です。

  • 守り人シリーズ第五弾。アスラはアスラなんだ、と思うことがこんなにも難しい。この結末に寂しさと温かさを感じる。

  • 「守り人」シリーズ第4弾。上下巻の下巻です。切ないけれど優しさのあるラストです。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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