金曜日の砂糖ちゃん (Luna Park Books)

著者 :
  • 偕成社
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本棚登録 : 2106
感想 : 275
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  • Amazon.co.jp ・本 (61ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784039652409

感想・レビュー・書評

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  • うつくしいとかわいいとほんのすこしの毒っ気が丁寧に織り込まれた上等な天鵞絨にくるまれたような気持ちになりました。

  • 小さな小さな砂糖菓子ようなの世界。

    暖かいお日様の光の下か
    あるいは夜に紛れて一人でそっと読みたい。

    時々取り出して
    眺めて、またそっと本棚に仕舞っている一冊。

  • 2003年発表。

    花や鳥や虫たちでいっぱいの庭で
    お昼寝するのは
    金曜日の砂糖ちゃんと呼ばれている
    小さな女の子。

    時間はいつもより
    ゆっくりと流れていて
    時計の針は
    3時から4時までを指している。

    女の子の眠りが
    邪魔されないように
    それを見守るカマキリ…。
    (金曜日の砂糖ちゃん)


    オレンジ色に染まる空。
    時刻は5時を過ぎている。
    ランドセルを背負った男の子が
    いつもと違う帰り道で出会った
    音の出ないオルガン。
    それでも
    蝶やバッタやカラスがやってきて…。
    (草のオルガン)


    ふと目覚めると
    それは夜と夜の間の魔の刻。

    時計の振り子は
    斜めな角度になったまま
    ピクリとも動かない。

    何かに誘われるように、
    大人のいる世界から決別するかのように、
    女の子は夜の闇へと消えていく…。
    (夜と夜のあいだに)



    子供が一人でいる時間を
    幻想的に描いた、
    3つの話からなる
    絵画的な絵本(^_^)



    しかし、なんて甘美な絵本なんだろう。

    どの話にも
    目には見えない
    死の影が漂っていて
    ドキリとさせられます。


    余計なものを削ぎ落とした
    想像力を掻き立てられるストーリーと、

    やさしくて
    繊細で
    どこか物悲しくて
    官能的でさえある
    酒井さんの
    芳醇で美しい絵の魅力にも
    (黒の使い方が絶妙!)
    ドンドン引き込まれていきます。


    読む者を無意識の世界へ誘う
    ダークで幻想的な
    異世界への扉。

    それは純粋無垢な子供たちだけが
    たどり着くことができる、
    残酷なまでに美しい世界。


    いろんな解釈のできる
    寓話的なお話なので、
    (ホラーよりゾッとする話もあります!)

    どちらかと言えば
    成熟した大人にこそ読んで欲しい
    美しすぎる絵本です♪


    2005年ブラティスラヴァ世界絵本原画展で
    金牌受賞作★

  • 花冠を頭に乗せた少女の表紙。
    花の上には鳥や蝶までいます。
    これを眺めるところから、プロローグ。

    180mm×135mmの小さな本には3つのお話が入っています。
    表題作の「金曜日の砂糖ちゃん」と、「草のオルガン」「夜と夜のあいだに」の3つです。

    「金曜日の砂糖ちゃん」と呼ばれる小さな女の子。
    すやすやと眠っているところから、始まります。
    どの絵も黒と白と、ほんの少しの赤で描かれています。
    とても可愛らしいと評判のこの女の子を、鳥や虫たちと一緒に草の陰から見守っているような気分になる、そんな絵。
    本から風など吹いてくるはずはないのに、さやさやと吹いてくるような気がしてくる、不思議な空間があります。
    小さな子がお昼寝するのだから、たぶん午後2時か3時頃のお話。

    ふたつ目の「草のオルガン」は、さみしいいことがあったからと、うつむいて歩く小さな男の子が出て来ます。
    鞄を背負っているので、小学校の低学年か中学年くらいかな、たぶん。水色の空や草原の緑が目に沁みて、音のでないオルガンを弾くと、草のなかから小さな生き物たちがやってきます。
    カラスがタンポポをくわえて傍に来たとき、この子の表情がふっと柔らかくなるのです。
    このお話だけは男の子が語り手。
    下校中のことなので、午後4時か5時頃のことでしょうか。

    さて、みっつ目はと言うと…
    昨年の暮れ、いつも行く「町の絵本屋さん」で、このみっつ目のお話を立ち読みしたのでした。
    最後の1ページで「してやられた」感があったわたしは、どうしても気になってこの本を買ってしまったというわけです。
    そんな「夜と夜のあいだに」は、これも小さな女の子が出て来ます。
    反則と知りつつ、最後からふたつ目の絵のことを。

    犬たちが迎えに来ています。
    ちょっと変わった格好の犬たち。
    女の子も、変な格好をしています。

    夜と夜のあいだに目をさました子は、母親のシュミーズを着て、いつもは触ってはいけないと言われている針箱から針と糸とボタンをひとつかみしてクッキーの缶に入れ、髪をとかし、鳥かごの戸を開け、そして、家の扉を開けました。そして…
    こんなぞくぞくする最後が用意されていたなんて、今でも悔しい(笑
    酒井さんには参りました。
    静かな静かな、そして少し妖しい幻想的な世界をぜひ味わって下さい。

    黒を基調にしたマットな画面。ざくざくした、かすれた絵の具のタッチ。
    子供の愛らしい顔を描くのが、何て上手なひとでしょうね。
    でも寂しい顔も描けるし、妖しい表情も描けるのです。
    どれもちょっぴり秘密めいた、子供たちだけの特別なお話。
    帯には江國香織さんの美しい紹介文が書かれています。
    手に入れてから、毎日毎日開いては眺める、そんな一冊。
    酒井駒子さんの絵が好きで、この方の作品はよく読むのですが、一番手元に置いておきたい作品です。

    • Sayさん
      素敵なレビューありがとうございます。
      私も酒井駒子さんだいすきです。
      素敵なレビューありがとうございます。
      私も酒井駒子さんだいすきです。
      2010/12/14
    • nejidonさん
      kikiさん、2010年の12月にコメントをいただいていたのに、今頃お返事して申し訳ありません。
      実は・・・お返事の仕方が分からなかったので...
      kikiさん、2010年の12月にコメントをいただいていたのに、今頃お返事して申し訳ありません。
      実は・・・お返事の仕方が分からなかったのです、ええ、本当なんです。
      てっきり「返信」という文字がどこかにあるものと。。。
      そのまま「コメント」というところに書き込めばお返事になるなんて、つい最近知りました。
      本当に本当に申し訳ありませんでした。

      ところで、酒井駒子さんの作品は最近何か読まれましたか?
      金曜日の砂糖ちゃんのような不思議さも好きですが、「はんなちゃんがめをさましたら」のような、ただただ可愛いのも良いですよね!
      2013/03/08
  • 何かを伝えたいことはわかる

  • 酒井駒子さんを知った初めての絵本
    金曜日の砂糖ちゃん
    この響きすばらしいです

  • ・金曜日の砂糖ちゃん
    ・草のオルガン
    ・夜と夜のあいだに

    子供が題材ですが、可愛い・明るいというよりは、美しい・妖しいという雰囲気の絵本です。面白いというよりは、怖いし。でも魅力的。

    子供が一人でいる時間には、大人にはわからない何か不思議なことが起きているのかも知れない。
    3作目がステキです。彼女はどこかのお姫様だったのかも。

    • yamatamiさん
      ahiruさん

      はじめまして、こんにちは!
      yamatamiと申します。
      フォローしていただいてありがとうございます。とても嬉しか...
      ahiruさん

      はじめまして、こんにちは!
      yamatamiと申します。
      フォローしていただいてありがとうございます。とても嬉しかったです。

      『金曜日の砂糖ちゃん』の最後のおはなし、「夜と夜のあいだに」の女の子がお姫様だったのかも、というレビューがとても素敵だなと思いました。私の読後が怖い...というものだったのでahiruさんのレビューを拝見してほっこりしました。

      ahiruさんの本棚は本だけでなく、映画や漫画も登録されてあって、しかもどれも私の好きな作家さんや、読んでみたい、観てみたかったというものばかりでとてもわくわくします...!

      これからいろいろ参考にさせてくださいね。
      よろしくお願いいたします(*^^*)
      2014/03/09
  • 表題のの他にあと2つの話があります。どれも夢のような話ですが、瘉されました。心にゆとりがあるときに、お勧めです。ゆとりがない時には、心に入って来ないかもしれませんが、もったいないですよ。

  • 絵本というより画集のようでした。少し不穏な雰囲気から醸し出す不思議な世界。金曜日の砂糖ちゃんという名前の響きがすごくかわいい!
    他にはない絵本です。

  • ちょっと難しい。
    何度も読み直して素晴らしさが分かってくる絵本。
    心のサプリ

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著者プロフィール

酒井 駒子(さかい・こまこ):兵庫県生まれの絵本作家。東京芸術大学美術学部油絵科卒業。『ロンパーちゃんとふうせん』『金曜日の砂糖ちゃん』、『BとIとRとD』『はんなちゃんがめをさましたら』などの作品がある。2004年、『きつねのかみさま』(あまんきみこ文)で第9回日本絵本賞、2009年、『くまとやまねこ』(湯本香樹実文)で第40回講談社出版文化賞受賞。書籍やCDの装画も数多く手がけている。ニューヨーク・タイムズの「2009年の子供の絵本最良の10冊」にも選ばれた。美しい猫とともに暮らしている。

「2024年 『初夏ものがたり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

酒井駒子の作品

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